研究課題
地球環境の変動を理解するためには,地質試料を用いた古環境解析が重要な手法の一つである.本研究では,琉球列島サンゴ礁域の表層~水深100mに生息する硬骨海綿について,骨格の各種化学組成を高時間分解能で分析し,海洋環境指標(プロキシ)の有用性を評価するとともに,Newプロキシとなる元素(同位体)を探求することを目的とする.そして,サンゴやシャコガイのデータとの解析から,琉球海域表層~水深100mにおける水温と塩分の長期変動の類似性と相違性を明らかにすることを目指している.本年度は,現地調査と環境モニタリングを実施し,硬骨海綿の骨格試料を複数個体採取し,現場環境データを取得した.採取試料について,骨格の鉱物組成分析ならびに各種化学組成分析(安定酸素炭素同位体組成分析やレーザーアブレーションICP-MS分析など)を実施し,硬骨海綿の環境プロキシの評価に関する基礎的データを得た(現在成果を投稿準備中:Asami et al.).また,大型の硬骨海綿試料について,骨格の放射性同位体年代測定を実施し,過去数百年の時系列データを構築し,他のプロキシデータと比較解析を行った(現在成果を投稿準備中:Asami et al.).以上の成果は,2017年度のJpGU-AGU Joint Meetingにおいて発表し,国際学術雑誌に投稿する予定である.なお,硬骨海綿から得られた環境プロキシデータと比較対象となる海棲炭酸塩生物のデータは随時,国内外の学会ならびに国際学術雑誌で発表した.
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
Journal of Geophysical Research (Oceans)
巻: 121 ページ: 6351-6366
DOI: 10.1002/2016JC012043
PLoS ONE
巻: 11 ページ: -
DOI:10.1371/journal.pone.0157659