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2016 年度 実施状況報告書

南極アイスコアの硫黄同位体比を用いた気候フィードバック機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26550013
研究機関琉球大学

研究代表者

植村 立  琉球大学, 理学部, 准教授 (00580143)

研究分担者 本山 秀明  国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (20210099)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード南極 / 硫酸エアロゾル / 安定同位体比 / 硫黄同位体 / 気候変動 / アイスコア / DMS
研究実績の概要

硫酸エアロゾルは、温暖化を抑制する気候フィードバックに関与する物質として注目を集めている。しかし、実際に気候変動が起こった際にどのようなフィードバックが起こるのかについては不明な点が多い。本研究では、硫酸エアロゾルの硫黄の安定同位体比を用いて、最終氷期から現在の温暖期にかけての気候フィードバック機構を明らかにすることを目指す。
本年度は、本年度の計画である以下の3点について研究を実施した。
(1)硫黄同位体比測定法の改良:初年度に構築した複数試料を同時に処理するシステムを用いて(2)と(3)を実施した。
(2)南極氷床上の同位体分布の解明:南極氷床上での、第53次南極観測隊が採取した表層積雪サンプルの硫黄同位体比を測定した。この結果は、沿岸から内陸にかけての硫黄同位体比の分布を明らかにした初めてのデータである。硫黄同位体比は、予想よりも均一であり、従来予想されていた輸送過程における同位体分別の効果の影響は極めて小さいことを示唆していた。また、硫黄同位体の値は、海洋生物活動に由来する硫黄が現在の東南極氷床の硫酸エアロゾルの主要な起源であることを示唆していた。この結果は、国際誌に論文として公表した。
(3)アイスコアの測定による気候変動プロセスの解明
昨年度に引き続き、南極ドームふじアイスコアの硫黄同位体比測定を行い、測定結果を得た。現在、(2)の結果と合わせて、得られたデータの解析を進めており、今後成果を公表していく計画である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

南極の雪、アイスコア試料の処理と同位体比測定は終了し、全般として順調に進展しているため。

今後の研究の推進方策

昨年度までに得られたデータの解析と成果報告に重点をおいて研究を推進する。

次年度使用額が生じた理由

本計画は(1)南極積雪と(2)アイスコアの測定と解析を行う計画であった。このうち(1)については、測定と解析が終了し、論文として公表することができた。しかし、(2)については試料の測定は終了したが、データ解析は現在も進めている状況である。そのため成果発表のための論文投稿、学会発表などを来年度に行うことになった。

次年度使用額の使用計画

主として成果の発表のため論文投稿、学会発表等に使用する計画である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] CEA-CNRS(France)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      CEA-CNRS
  • [雑誌論文] Sulfur isotopic composition of surface snow along a latitudinal transect in East Antarctica2016

    • 著者名/発表者名
      Ryu Uemura, Kosuke Masaka, Kotaro Fukui, Yoshinori Iizuka, Motohiro Hirabayashi and Hideaki Motoyama
    • 雑誌名

      Geophysical Research Letters

      巻: 43 ページ: 5878-5885

    • DOI

      doi:10.1002/2016GL069482

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Acquisition of isotopic composition for surface snow in East Antarctica and the links to climatic parameters2016

    • 著者名/発表者名
      Touzeau, A., A. Landais, B. Stenni, R. Uemura, K. Fukui, S. Fujita, S. Guilbaud, A. Ekaykin, M. Casado, E. Barkan, B. Luz, O. Magand, G. Teste, E. Le Meur, M. Baroni, J. Savarino, I. Bourgeois, and C. Risi
    • 雑誌名

      The Cryosphere

      巻: 10 ページ: 837-852

    • DOI

      doi:10.5194/tc-10-837-2016

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] ドームふじアイスコア中の硫黄同位体分析による硫酸エアロゾルの起源推定2016

    • 著者名/発表者名
      植村立、眞坂昂佑、松本理誠、植村美希、飯塚芳徳、平林幹啓、本山秀明
    • 学会等名
      日本地球化学会 年会
    • 発表場所
      大阪市立大学, 大阪府 大阪市
    • 年月日
      2016-09-14 – 2016-09-16
  • [学会発表] 硫黄同位体比分析による東南極表面雪の硫酸エアロゾルの起源推定2016

    • 著者名/発表者名
      植村立、眞坂昂佑、福井幸太郎、飯塚芳徳、平林幹啓、本山秀明
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合 連合大会2016年大会
    • 発表場所
      幕張メッセ, 千葉県 千葉市
    • 年月日
      2016-05-22 – 2016-05-26
  • [図書] 低温環境の科学事典 (項目分担「さまざまな過去の気温推定法)2016

    • 著者名/発表者名
      河村公隆編
    • 総ページ数
      432
    • 出版者
      朝倉書店

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公開日: 2018-01-16  

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