研究課題/領域番号 |
26550014
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
阿保 真 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (20167951)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 応用光学・量子光工学 / 環境計測 / リモートセンシング / ライダー / 気象観測 |
研究実績の概要 |
気象要素の一つである気温鉛直プロファイルのライダー観測は、風や水蒸気に比べて未だ安定した観測が実現していないのが現状である。本研究では、金属蒸気レーザ等取扱いが容易な光源と安定した狭帯域特性が得られる金属蒸気フィルタを使った新しい高スペクトル分解能方式の気温計測ライダーの開発を行っている。本システムは地表から対流圏全域にわたる気温の鉛直分布を測定するための小型で無人観測が可能なライダーであり、気象学、環境学、防災工学などへの大きな寄与が期待される。 当該年度は主に光源として金属蒸気レーザの開発を行った。原子としてはカリウム、ルビジウム及びセシウムを候補とした。はじめにシミュレーションにより最適な金属蒸気セルの設計を行った。セルの長さ、温度、バッファーガスの種類等を先行研究の文献等を参考に確定し、特注セル並びにレーザ共振器用ミラーを発注し、基本的な特性を測定した。励起光源としては半導体レーザ並びにアレキサンドライトレーザを用いる。また、受信部の金属蒸気フィルタの開発にも着手した。シミュレーションにより最適な透過特性を得るための、金属蒸気セルの設計を行った。方式は、背景光の大きな昼間の観測にも有利であることからファラデーフィルタ方式を検討した。特に、ファラデーフィルタでは磁場の安定度が温度測定精度に大きく影響を与えることが明らかになったので、その対応法を検討した。得られた成果の一部を学会等で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
送信部の開発については、部品調達に時間がかかったためやや遅れているが、その間に受信部の開発を先行して進めたため、全体としては概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
やや遅れている送信部の開発を進めるとともに、送信部については波長安定化DBRレーザとパルス半導体アンプ方式の採用も平行して検討する。受信部については磁場の安定度の影響対策に注力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当面必要な物品が揃ったので、残額を翌年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度購入する物品の費用として利用する。
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