気象要素の一つである気温の遠隔連続観測は、未だ安定した手法が実現していないのが現状である。本研究では、金属蒸気レーザ等取扱いが容易な光源と安定した狭帯域特性が得られる金属原子フィルタを使った新しい高スペクトル分解能方式の気温計測ライダーの開発を行った。受信部にはカリウム原子ファラデーフィルタを用いることを提案した。室内実験ならびに屋外の上空200mの気温計測実験を行い、温度計の値と良く一致することを確認した。本システムは地表から対流圏全域にわたる気温の鉛直分布を測定するための小型で無人観測が可能なライダーへの拡張が可能であり、気象学、環境学、防災工学などへの大きな寄与が期待される。
|