第一遷移金属元素及び軽金属元素において、確立した再現性の高い同位体分析法と迅速単離技術を主要な地質学的・環境学的試料に適用し、目的元素の天然での同位体比の変動幅を測定した。第一遷移金属元素のうち、ニッケルの同位体変動は銅や亜鉛に比べて小さく、また、ホウ素やリチウムには、大きな同位体比の変動幅が認められた。特にエアロゾル試料に含まれるこれらの元素は人為起源由来の割合が大きく、自然由来の試料の同位体比とは異なった値を取るため、人為的に放出された金属元素の環境への負荷量を定量的に把握する同位体指標としての可能性を提案した。
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