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2014 年度 実施状況報告書

過去数100年間の東アジア域におけるブラックカーボンの動態解明

研究課題

研究課題/領域番号 26550021
研究機関独立行政法人海洋研究開発機構

研究代表者

宮川 拓真  独立行政法人海洋研究開発機構, 地球表層物質循環研究分野, 研究員 (30707568)

研究分担者 池田 恒平  独立行政法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 特別研究員 (60726868)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード炭素分析 / 堆積物中BC / 人為起源影響
研究実績の概要

秋田県一ノ目潟の湖底堆積物中のブラックカーボン(BC)の分析法の最適化のため、いくつかの前処理法の検討及び基礎実験を行った。堆積物中の炭酸除去のため、従来塩酸が使用されるが、燃焼により発生するBCは比表面積が大きく、容易に表面が酸化されるので、酢酸を用いた前処理に変更した。加熱処理により、有機炭素を除去する過程での温度条件の最適化を検討した。燃焼によるロスを減らすため、不活性ガス雰囲気下で加熱処理を施し、約800℃以上の高温にすることで、有機炭素がほぼ除去できることがわかった。過酸化水素処理後の熱分析により、一ノ目潟の試料では主として、比表面積の大きい燃焼由来の元素状炭素を検出していることが分かった。
年縞別の試料の準備は、一ノ目潟のプロジェクト内との調整から遅れており、いくつかのテストサンプルについてのみ分析を行い、BC含有量のみトレンドを調べた。暫定的な値ではあるが、2000年代で0.33%であったのに対し、1980年代で0.09%、1950年代で0.06%と産業革命後にBCの含有量が増加している傾向をとらえることに成功した。
モデルは当初全球気候モデルを使用する予定であったが、より一般的に使われており、モジュールなどの共有化が進む全球化学輸送GEOS-Chemに変更した。すでに10年スケールのシミュレーションについてはテストランを終え、本格使用の準備を終えた。比較可能な東アジア域のBCデータについては整備済みである。また、モデルで使用される湿性沈着の取り扱いについて、BCが一定の時定数で水溶性を獲得するパラメタリゼーションは全球モデルでよく使用されるが、東アジア域での再現性が悪いことがわかり、今後の検討材料が抽出できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現状では、いわゆる年縞別の試料を切り出せていないため、正確にBC含有量から沈着フラックスへの換算ができていない。しかしながら、BC含有量の定量法の目途はついているので、試料の準備ができ次第、トレンドを完成できる。また、検討した前処理は同位体分析に向けた前処理も兼ねているため、遅れはあるものの比較的スムーズに起源解析を進めることができると考えられる。
モデルの変更に伴い、当初予定していたエミッション検証や降水量シミュレーションの検証は未達である。どちらもこの研究の重要な鍵であるので、引き続き注意深く行っていく必要がある。

今後の研究の推進方策

BC沈着フラックスのトレンド完成までは問題なく到達できる見込みであるが、放射性炭素同位体比を用いた起源推定に関して、分析可能な炭素量を確保できるかは現状での未知数な部分もあり、時間分解能の設定の再検討が必要である。
モデル計算と観測値との比較に今後重点を置くが、分担者とは緊密に連携しながら、進めていく予定である。また、BCの親水性獲得にかかわる適切なパラメタリゼーションの検討を進めることでより正確なシミュレーションを目指す。

次年度使用額が生じた理由

当初、装置のメンテナンスなどの費用も計上していたが、平成26年度は順調に稼働していたのでメンテナンスを見送り、また、消費するガスの使用量もそれほど多くならなかったため。

次年度使用額の使用計画

当初計画では多くを割けなかったモデル研究開発に、未使用額を使用する。十分なデータストレージを確保するだけでなく、国内外の研究者との意見交換のための出張旅費などにあてる予定である。

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公開日: 2016-05-27  

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