研究課題
対流圏大気中において亜硝酸(HONO)ガスは、光分解することで大気の酸化力を決定するOHラジカルを生成する重要性を持つが、その生成過程や存在高度範囲は把握されていない。本研究ではHONOとその生成に関与する二酸化窒素(NO2)に関して、リモート計測法(MAX-DOAS法)と、地上付近の大気の濃度を計測する方法による同時観測から、存在高度範囲と生成過程を解析することを目的とした。横須賀における同時観測は、2014年冬・夏に加え、2016年冬にも新たに実施し、観測データをとりまとめた。LOPAP(Long Path Absorption Photometer)法では、送液部なども含め、より安定的にHONOの地上計測データを取得できた。この地上観測を指標とすることで、MAX-DOAS法で差分吸収度を定量する際の各種パラメータを最適化した。その際、マックスプランク研究所が主体として行っている相互比較で用いられているパラメータ等も参考にした。MAX-DOAS法から得られる高度分布情報とLOPAPの地上計測とを合わせて、存在高度範囲について考察した。CAPS法や行政モニタリングの地上NO2データとHONOの時間変動は良く対応しており、地上計測ではHONO/NO2濃度比は冬季には夜間で2-4%、日中で1-2%, 夏季には夜間で1-2%, 日中は2-3%程度であった。NO2からのHONO未知生成プロセスを探索するため、[HONO]*j(HONO)/[NO2]値とあらゆる測定項目との相関を解析した。また、OHラジカルの生成源として、HONOの光分解由来の速度とオゾンの光分解由来の速度との比較を行った。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Aerosol and Air Quality Research
巻: 16 ページ: 430-441
10.4209/aaqr.2015.04.0220
https://ebcrpa.jamstec.go.jp/maxdoashp/