研究課題
1.東海大矢部博士らとの共同研究で、ファンコニ貧血患者の母親のALDH2の遺伝子型を調べたところ、ALDH2-AAの患児の母親に同じくALDH2-AA型が複数例認められた。マウスにおける検討では、ALDH2/FAダブルノックアウトマウスの母マウスは少なくとも一つの健常ALDH2健常アレルをもっていないと胎児が致死となることがわかっており、ヒトでは全く状況が違っていた。2.ALDH酵素群の転写レベルの発現を、Realtime PCRによって、各種細胞で検討した。CD34陽性の造血プロジェニター細胞、胎盤細胞、ヒト成人肝細胞、胎児肝細胞を用いた。様々なパターンでの発現が認められ、(1)CD34陽性細胞で発現が高いのは、ALDH1A2/1A3であり、ALDH1A1も発現みられる。特に1A3はCD34できわめて発現が高い。(2)ALDH1B1, 2は成人の肝臓で最も高く、胎盤でもわずかに発現していた。3.ファンコニ貧血類似だが、染色体脆弱性を示さない症例数例にフォルムアルデヒド分解酵素ADH5遺伝子のbiallelic変異を見出した。新規の再生不良性貧血の病態と考えられ、今後の検討が必要である。4.今後、ファンコニ貧血の病態において最も重要な内因性アルデヒドとその分解酵素についてのより詳細な検討が必要である。分解酵素として、少なくともヒト再生不良性貧血病態の解析から、ALDH2とADH5が重要であることがうかびあがりつつある。
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