本研究課題の目的は、乳がんに対する抗がん剤・タモキシフェンの新奇な標的を一般的な細胞の小胞体膜に同定し、これに結合しない誘導体を新規な抗乳がん剤として開発することである。まず、小胞体膜に存在する受容体の単離・精製には至らなかったものの、候補タンパク質の絞り込みに成就した。さらに、エストロゲン受容体には結合するが、小胞体膜タモキシフェン受容体には結合しない化合物の合成に成功した。さらに、これらが抗エストロゲン作用を示し、また、乳がん細胞増殖抑制作用を示すことを明らかにした。このように、新規な抗エストロゲン剤の創成に成功した。
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