研究課題
色素性乾皮症A群(XP-A)が発症する進行性の神経障害が酸化的DNA損傷サイクロプリンの蓄積による神経細胞死と関連するかを検討するため、8,5’-cyclo-2’-deoxyadenosine(Cyclo-dA)に特異結合するモノクローナル抗体(CdA-1)を世界で初めて作製した。昨年度の研究において、CdA-1のCyclo-dA特異性を十分に証明した後、ELISA法に応用し、100,000塩基あたり1個の検出感度を持つサイクロプリン定量系を確立した。本年度の研究において、サンプルDNAのプレート付着量、CdA-1の処理濃度、CdA-1溶解液中の塩濃度などを最適化することにより、検出感度を10倍高め1,000,000塩基あたり1個とした。この改良型ELISAを用いて5ヶ月齢から29ヶ月齢の野生型およびXP-Aマウス間におけるサイクロプリン蓄積量を比較した結果、増殖の早い精巣では差が見られないが、脳ではXP-Aマウスが有意に多量の損傷を蓄積していることがわかった。この結果は、XP-Aの神経障害がサイクロプリンの蓄積と関係する仮説と矛盾しない。
3: やや遅れている
マウス臓器におけるサイクロプリンを定量するため、検出感度を10倍高めるのに時間を要した。
若い野生型およびXP-Aマウス(1ヶ月齢など)臓器におけるサイクロプリン蓄積量を定量比較し、どの時期から損傷量に差が生じるか明らかにする。また、XP-A患者脳においても健常人に比べサイクロプリン蓄積量が多いか剖検サンプルを用いて検討する。
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