研究課題
日本人に多いDNA修復欠損遺伝病である色素性乾皮症A群患者(XP-A)が発症する進行性の神経障害が酸化的DNA損傷サイクロプリンの蓄積による神経細胞死と関連するかを検討するため、当該損傷の1種であるCyclo-dAに対するモノクローナル抗体を世界で初めて作製した。H26年度に抗体の特異性を確認し、H27年度に損傷検出感度を10倍増強した結果、5ヶ月齢から29ヶ月齢までの各々7匹の野生型およびXP-Aマウスの臓器においてCyclo-dAの蓄積量を比較することが可能となった。臓器として、神経細胞を含む脳、肝臓、腎臓および精巣を用いた結果、増殖の早い精巣では損傷量に差が見られなかったが、増殖のない脳においてはXP-Aマウスが有意に多量のCyclo-dAを蓄積していた。増殖が中程度の肝臓と腎臓でもXP-Aマウスの蓄積量が多かったが野生型との差は小さくなった。この結果はXP-Aの神経障害とCyclo-dAの関係を支持すると思われたが、損傷定量のための検量線に用いたCyclo-dAを1個含む20塩基長のオリゴヌクレオチドの一部がプレートから脱落していることが判明し、各サンプルにおけるCyclo-dA量の新検量線による確認が必要となった。そのため、オリゴヌクレオチドの塩基長を増加させるなどあらゆる対策を試みたが解決できなかった。そこで、Cyclo-dA-オリゴヌクレオチドを断念し、プレートから脱落しにくい長い仔牛胸腺DNAを検量線用に使うことにした。このDNAをフェントン反応処理した後ヨーロッパに送り、LC/MS/MS法で実績のあるChatogilialoglu教授らによる誘発Cyclo-dAの定量が進行中である。
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