研究実績の概要 |
メタン生成菌によるCO2のメタンへの転化プロセスの初期では、CO2のメタノフラン(MFR)へのアミノホルミル化による固定化反応が重要である。そこで、超臨界CO2/腐植物質水溶液二相系におけるMFRへのホルミル化に関する検討を行った。MFRのモデルとしてベンジルアミンを、触媒としてRuCl3, Pd(OAc)2, Fe(II), RuCl2(PPh3)3を、水素化物として水素化ホウ素ナトリウムを用い、10 MPa, 80度の条件でCO2を圧入して反応させた。しかし、腐植物質の有無、どのような触媒を用いてもベンジルアミンのホルミル化は観測されなかった。反応溶液の解析を行った結果、腐植物質が共存しRu触媒を用いた場合、ギ酸の生成が顕著であることがわかった。したがって、CO2は主としてギ酸へと還元されていると考えられる。一方、ルイス酸共存下でアミンはギ酸によりホルミル化されることが報告されている。ゼオライトのようなルイス酸共存下で、ベンジルアミンがベンジルホルムアミドへ転化されることを確かめた。さらに、反応後のガス成分について、メタンガスセンサーを用いて計測した結果、7 - 10パーセント程度のメタンが検出された。メタンセンサーの場合、H2等可燃性ガスは検出されてしまうので、ガスクロマトグラフィーによる詳細な分析が今後求められる。 以上から、CO2のギ酸への還元に及ぼす腐植物質や金属触媒の影響についてさらに深く検討を進めることにより、効率のよい金属錯体を見いだすとともに、ゼオライトなど固体酸触媒によるベンジルアミンのギ酸によるホルミル化についても検討を進める。その結果により、ギ酸によるホルミル化を促進させる固体酸触媒にギ酸生成を促進する触媒を複合することにより、オートクレーブ内でワンポットでホルミル化が進行する反応系を構築していくことを考えている。
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