研究課題/領域番号 |
26550058
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
佐野 寛 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (40162523)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 重金属 / 捕集材 / ヘテロ環 / ポリマー |
研究実績の概要 |
本年度は重金属を回収するための捕集材の作成を行った。水中の金属を捕集する場合,捕集材の重量あたりの捕集効率は,この粒径が小さいほど表面積が大きくなるため良い結果が得られるが,一方,実際に捕集材をカラムに詰めて試験水を通過させることを考慮すると,粒径が小さすぎると十分な流速がえられないため実用性に欠ける,という問題が生じる。今までの研究結果より,これを満足する粒径がおよそ300μm前後であったことから,本研究ではまず,捕集材のベースとなるスチレンホモポリマーの作成に於いて,この粒径のポリマーが効率よく得られる条件について検討した。モノマーから懸濁重合により粒状ポリマーを生成する際,その粒径はモノマー濃度,分散剤の種類と濃度,開始剤の濃度,攪拌速度に依存する。はじめに分散剤としてリン酸カルシウムを用いたところ,目的のポリマーは得られるものの,単離段階での後処理が面倒であったため,より単離が簡便に行えるPVA を用いることとし,実験ではケン化度の異なる3種類のPVAを用い検討した。開始剤はAIBNを用いた。種々条件を検討した結果,モノマー濃度20%,分散剤(ケン化度86~90%のPVA)濃度0.24%,開始剤濃度0.24%のとき,目的とする粒径のポリマーが収率良く得られることが分かった。この条件をもとにビニルピリジンとの共重合による捕集材の作成を行った。その結果,ビニルピリジンの含有量が5%以下のものでは,理想的な粒径のポリマーが得られた。一方,含有量5%以上のものでは粒径が大きくなる傾向があり,分散剤の濃度を高くするなどの反応条件の変更が必要であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初様々なヘテロ環を有する捕集材を作成する予定であったが,最適な粒径を得る条件を決定するのに予想より手間取ったため,今年度は2種類の捕集材作成にとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
最適粒径の捕集材を得る条件は得られたため,今後は種々のヘテロ環を有する捕集材の合成を行い,それらを用いた様々な重金属の捕集効率について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
捕集材合成のための最適な条件を決定するのに予想より手間取り,当初予定した数の捕集材が合成できなかったため,その分の試薬・器具の購入費が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
当初目的とした数の捕集材を合成するための試薬,器具などの購入に使用する。
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