研究課題/領域番号 |
26550060
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
梅田 実 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20323066)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 環境負荷低減 / クローズド化 / 燃料電池技術応用 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,使用して寿命を迎えた固体高分子形燃料電池(PEFC)の電極触媒から電気化学的にPtを高効率で溶解して,その後電析によりPt回収する技術を省エネルギーかつ低環境負荷プロセスにて行うことにある。当研究グループでは,高濃度の強酸を使用することなく,Ptを電気化学的に溶解する研究を行っている。特に,0.5 M硫酸中に過酸化水素を添加した場合,Ptが高速溶解する現象を見出して報告してきた。本研究は,この知見をさらに発展させたPt超高速溶解を実現し,環境負荷のないPtリサイクルプロセスを提案することにある。 本年度は,過酸化水素含有した0.5 M硫酸溶液中のPt電極連続電位掃によるPt溶解試験において,Fe (Fe2+、Fe3+)、Ce (Ce2+、Ce3+)、Mn (Mn2+)等の金属イオンの添加効果を実施した。まず、金属イオンのない298 mM過酸化水素 + 0.5 M硫酸中の連続電位掃引はPt電極の重量減少を示した。上記の金属イオンを溶液に添加すると、電位掃引によるPt溶解量はより増し,特にPt重量はFe2+ と過酸化水素の共存下で10倍以上の速度で減少した。さらに、この加速的Pt溶解はFe2+と過酸化水素濃度のいずれにも依存し、最大Pt減少量(257マイクログラム)がFe2+=10 mM、H2O2=298 mMで得られた。この結果はFe2+とH2O2がPt溶解に相乗的に作用することを表している。Pt溶解に対するFe2+と過酸化水素濃度の依存性は,過酸化水素の分解量で説明されると思われる。以上のように,本研究の遂行により低濃度酸性水溶液中で,Ptが高速溶解する要因が把握でき,環境負荷のないPtリサイクルの要素技術に関する研究が進展した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
比較的穏やかな酸性水溶液中でPtを高速溶解させる因子が抽出された。これは,過酸化水素と金属イオンの組合せで特徴づけられることが分かり,過酸化水素の分解と関係する知見を得た。このように,ほぼ当初の計画通りに研究を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 過酸化水素と金属イオンの組合せに対する電位の影響を詳細に調べ,(2)Ptリサイクルのための省電力プロセスを提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
電気化学水晶振動子の特注品の試作に時間を要することが分かり,発注が次年度に移行したことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の電気化学水晶振動子(特注品)をH27年4月に発注する。
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