研究課題/領域番号 |
26550061
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
羽田 政明 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70344140)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 大気汚染防止・浄化 / 環境技術 / 触媒・化学プロセス |
研究実績の概要 |
ハニカム内部でのガス流れ方向のガス分析を定量的に行うために必要な質量分析計への反応ガス導入部の試作とハニカム型モデル触媒の作製を同時進行した。 (1) 反応ガス導入部の試作に関しては、セルサイズが400cpsiのコージェライト製ハニカムの使用を想定し、セル内に導入が可能で、かつ600℃以上で使用可能なfused silicaカラム(外径0.45mm)をガス導入部の先端に使用し、質量分析計にはGC/MS用のジョイントを細工することで1/16インチのステンレス管への接続を実現した。触媒をコーティングしていない空のハニカムを用い、試作した反応ガス導入装置によりハニカム内部のガス成分を連続的に分析できることを確認した。 (2) ハニカム型モデル触媒の作製に関しては、自動車排ガス浄化触媒の基本構成成分であるPt/Al2O3とCeO2-ZrO2のコーティング条件の最適化を検討した。スラリー作製における溶媒の種類(水、エタノール)、バインダー(ZrO2粉末)、pH(塩基性)を制御することで、400cpsiのコージェライトハニカムに見かけ上均一に触媒成分がコーティングできることを確認した。粉末触媒とハニカム触媒についてCO酸化反応を行い、両者ともほぼ同じCO酸化活性を示すことを確認した。 (3) Pt/Al2O3をコーティングしたハニカム触媒についてCO酸化反応におけるハニカム内部のガス分析を試作した反応ガス導入装置を用いて行った。約1cmの長さに切り出したハニカム触媒の上端・中央・下端におけるガス濃度を計測した結果、CO転化率が低い温度条件では、反応ガス流れ方向に対して転化率が高くなる傾向が見られ、転化率が50%以上の温度域ではハニカム上部でほぼ反応が終了していることが分かった。ハニカム内部のガス濃度分布の計測において試作した反応ガス導入装置の有効性を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マニュアル操作であるが試作した反応ガス導入装置を用いることでハニカム内部におけるガス濃度分布を計測できることが確認され、研究はおおむね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
当初は複数のガス導入管をハニカム内部に導入する計画であったが、精度よく分析するために1本の導入管を導入することにした。一方でガス流れ方向の分析を精度よく行うため、次年度は自動でガス分析位置をセットできる装置を設計・試作することを考えている。今年度の成果を踏まえ、試作のための打ち合わせを行っており、早期導入を目指す。加えて、CO酸化反応のような単純な反応以外に、NO還元反応やNOx吸蔵還元反応など、ガス流れ方向で反応性が異なると考えられる触媒反応について反応生成物分布の計測を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
可動型質量分析計ガス導入装置を試作・購入を予定していたが、まずは簡単な装置で本提案の実現可能性を確認するため、fused silicaカラムやGC/MS用ジョイントなどの消耗品を組み合わせて試作を行ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
自動でガス分析位置をセットすることが高精度での分析では必要であるため、平成26年度での試作結果を踏まえて設計・試作された可動型質量分析計ガス導入装置を購入する。
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