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2015 年度 実施状況報告書

食品廃棄物を利用したアスタキサンチンの微生物合成に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26550078
研究機関大島商船高等専門学校

研究代表者

杉村 佳昭  大島商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90300623)

研究分担者 古本 啓二  大島商船高等専門学校, その他部局等, 教授 (90149972)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードラビリンチュラ / アスタキサンチン
研究実績の概要

本研究で使用するThrautochtrium菌CHN-1株(Thra菌)は広島県呉市の瀬戸内海で発見され、高度不飽和脂肪酸のみを生産するラビリンチュラ類に属しているが、高度不飽和脂肪酸に加えて、アスタキサンチンも生産する特異的な微生物である。
平成27年度は、前年度に流加培養を行ってグルコース濃度を制御することにより、アスタキサンチンの生産性を向上させる知見が得られたことから、さらにカロテノイド類の生産及びアスタキサンチンへの酸化反応に影響を及ぼす培養条件の検討を行い、効率的なアスタキサンチン生産法の開発を検討した。また、食品廃棄物に利用することを視野に入れているので、混合糖の利用を検討した。
培養条件(温度)の検討を行った結果、培養温度は高いほど増殖量は多いものの、5日目あたりから死滅期に入り、カロテノイド類の生産がなくなった。また低温の15℃では、増殖量は多くなかったが、長い定常期を維持した。そこで、3日間、23℃で培養後、15℃に制御して培養した結果、カロテノイド類は15℃、23℃といった一定温度を保つよりも高い生産量を得ることができた。
混合糖の利用では、おからの利用を想定しているので、その分解液中の糖の主成分であるグルコース、ガラクトース、キシロース、アラビオースを利用し、これらの糖がThra菌の炭素源にあり得るのかどうかの検討を行った。検討結果、グルコースの消費が最も高く、六炭糖がカロテノイド生産に適していることが確認された。また、混合糖の資化性についてもグルコースをベースに他の糖とも混合して検討した結果、五炭糖がグルコースの資化を阻害する傾向は見られなかったことから、おから等、食品廃棄物を利用して、アスタキサンチンを生産することが改めて確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

炭素源の探索として、地元業者から排出される食品廃棄物であるおからの他に、みかん糖蜜を入手し、熱水処理、凍結乾燥処理をなど前処理を行い、利用するという方針から、日本果実工業株式会社様から有価肥料産廃物である、みかんパルプ、みかん糖蜜(商品名シトラスパルプ、シトラスモラセス)を入手し、熱水処理や、凍結乾燥などの前処理の最適化やセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼなどの酵素複合体での加水分解の最適化を試行錯誤行ったが、思うような結果は得られなかった。しかしながら、混合糖の利用や培養条件の最適化では、新たな知見が得られた。
混合糖の利用では六炭糖が適していることが分かり、さらに五炭糖の混入によるグルコースの資化を妨害する傾向は見られなかった。
また、培養条件の探索では、23℃での3日間培養後に、15℃での低温培養を行うことにより、カロテノイド類の生産が向上することが分かった。
以上の結果より、食品廃棄物を直接、利用することに有用な結果は得られなかったものの、混合糖の利用による食品廃棄物利用の有益性の確認に関して、また、培養温度制御によるアスタキサンチンを効率的に生産する培養プロセスに関して、有用な知見が得られたと考えられる。

今後の研究の推進方策

平成28年度は、前年度に知見が得ることのできなかった、食品廃棄物による炭素源の探索を改めて行う。おから、残飯、みかん糖蜜を改めて入手し、熱水処理、凍結乾燥処理などの前処理の最適化を行う。また、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼなどの複合酵素剤で加水分解処理の最適化も行い、スクリーニング実験を順次行う。
また小スケールのエアリフト型気泡塔の他に、固体培養についても調査して、新たに反応装置を作成し、アスタキサンチン生産の最適化を行う。光の高度や照射時間、空気の通気速度を種々変化させて、最終生産条件について知見を得ていくことにする。

次年度使用額が生じた理由

物品の購入額を業者との交渉により低く抑えることができたためであり、残高は次年度に使用する。

次年度使用額の使用計画

平成28年度の物品購入に使用する。

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公開日: 2017-01-06  

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