平成27年度は混合糖の利用や最適培養条件の最適条件の探索を行ったところ、混合糖の利用では六炭糖が適しており、五炭糖は適していないものの、グルコースの資化を妨害する傾向は見られなかった。また培養条件の最適条件の探索では23℃での3日間培養後に、15℃での低温培養を行うことにより、カロテノイド類の生産が向上することが分かった。 今年度はグルコースを炭素源としたときのフラスコ培養、エアリフト培養の違い、おからを栄養源としたフラスコ培養、エアリフト培養の違い、固液分離したおから培地でのフラスコ培養、エアリフト培養の違いを行い、エアリフト培養を行ったときの利点を調べることにした。 結果としてはまず、グルコースを炭素源としたエアリフト培養では菌体の増殖とカロテノイド生産挙動は異なり、菌体増殖後にカロテノイドが生成することが示唆された。また総カロテノイド生産量はフラスコ培養に比べて9倍となり、スケールアップの効果が確認できたが、アスタキサンチンの生産割合が減少した。さらに、おからを栄養源としたエアリフト培養では同様に総カロテノイド生産量は4倍に増加したものの、アスタキサンチンの生産割合が減少した。また、固液分離したおから培地でのエアリフト培養では同じく同様に総カロテノイド生産量は3倍に増加したものの、アスタキサンチンの生産割合は減少した。 以上の結果から、すべて総カロテノイド生産量を増加させたものの、目的物質のアスタキサンチン生産割合を減少させるといった望ましくない結果となった。これはエアリフト培養による空気吹き込みによる効果が思うようにできず、おから成分の凝集体が沈殿し、生産妨害したものと考えられる。今後はエアリフト気泡塔の改良、または固体培養などの反応装置設計の見直しを行う必要があると考えられる。
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