研究課題
植食性昆虫の種分化は寄主植物の共進化が密接に関係しているため、昆虫のローカル群集は寄主である植物の群集構造にも密接に関係している。洋食者である鱗翅目昆虫(以下、昆虫)と寄主植物の群集レベルでの関係を解析した。とくに昆虫の植生幅に注目して、選好性-パフォーマンス関係から葉食性昆虫群集創出機構について考察を行った。北海道大学苫小牧研究林の天然リンナイに0.15haのプロットを設置し、プロット内の胸高直径5cm以上の樹木から鱗翅目幼虫を採集し、採集された樹木と同種の葉を与えて飼育した。同様の方法で行ったチェコのデータと比較検証を行った。日本とチェコの3箇所の冷温帯夏緑林でとったデータを使用した。まず、植物-植食者の量的食物網構造に対する寄主植物の影響を定量化する解析を行った。さらに、生活史パターンによって昆虫ギルドを3つに分類し、それらの多様性を維持する上での寄主植物系統関係の役割について検討を行った。 観察された食物網をランダム化された寄主選択モデルと比較することによって、機種系統の影響を解析した。Free feederは3つの場所すべてで広い食性を示したが、ゴール形成性昆虫およびLeaf minerはほぼ単食性であった。植物-植食者の食物網の形成に及ぼす寄主植物系統の影響は、ギルドによって異なることを示す結果が得られた。すなわち、ジェネラリストのギルドの場合、より植物系統発生の深い段階での影響が顕著であったのに対して、系統樹の末端では影響は弱かった。対照的にスペシャリストのギルドの場合、おもに植物系統樹の末端における影響を強く受けていた。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Journal of Animal Ecology
巻: 86 ページ: 556-565
https://doi.org/10.1111/1365-2656.12646