細胞内TCAサイクルのエネルギー代謝での炭素、窒素の安定同位体比の動態を調べるため各素過程での同位体効果と基質供給量の間の関係をモデル化し、これらをつないだ定性的な代謝動態モデルを構築した。餌の量が多いほど、代謝速度が速いほどC・Nとも同位体効果が大きくなり、成長速度が大きい場合には同位体効果が小さくなること、また餌のC/N比が自らに比して高い場合にはCの、低い場合はNの同位体比が高くなる傾向も再現できた。必須アミノ酸では炭素鎖の代謝頻度が低く抑えられれば、可欠アミノ酸に比べてCの同位体比が低くなることも示唆された。生態系間で共通するC・N同位体濃縮比をもたらすメカニズムの解明の一助となる。
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