本研究では、食に関する活動を含む家庭における日常活動に着目し、活動別の資源消費による影響を定量化する新しい手法の検討を目的とした。既存の手法では検討されていなかった日常活動を対象に、資源消費による影響の指標を作成し、削減可能性の検討を行った。 まず、日常活動を対象に分析を行う手法として活動-資源消費システムMapモデルを構築した。このモデルでは、社会生活基本調査の活動分類に基づいて平均的な活動を分析し、活動別の経済影響や環境影響を定量化するためのモデルである。そして、ガス、灯油、電気、水、ガソリンやエネルギー関連機器、通信、通信関連機器などを対象に、このモデルを適用することによって日常活動別の資源消費による経済影響・環境影響の定量化することができた。その結果、睡眠時の通信機器の使用や、テレビの使用の中で他の行動と同時に行っている時間に、資源消費量削減可能性が示された。これまでにない手法で分析を行ったことで、日常活動別という新たな知見からの資源消費量削減可能性の検討ができ、構築したモデルの有効性が示された。本モデルを用いることで、既存手法で対象とされていた製品やサービスを対象とした削減可能性の見解ではなく、行動の削減という見解を得られることが分かった。 さらにモデルによって推計した環境負荷の少ない生活を知ることによって市民の行動が変容するかを分析する。情報をアンケート調査被験者に提示することによってその後の行動意図に変容がみられるかどうかを明らかにする。その結果、環境行動の実践を高めるためには、その行動に関する実行可能性評価を向上させる情報がが他の情報に比べて大事であることが分かった。
|