株井戸制度は濃尾平野に広がる輪中に江戸時代末期から明治時代にかけて存在した井戸掘削規制の仕組みである。株井戸については歴史学を中心にその発達史が明らかにされてきたが、本研究では政策研究の観点から新たに以下の点を明らかにした。一つはGISを用いて輪中全体における井戸掘削規制の広がりを可視化した。次にコモンズ論を活用し、輪中の住民がなぜ外部権力の介入なしに井戸掘削規制を成しえたのかを明らかにした。そして最後に現代の地下水管理政策への教訓として、許可証の集中化問題に伴う水資源への平等なアクセスの確保を課題として提起した。
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