研究課題/領域番号 |
26550110
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
市橋 勝 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (10223108)
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研究分担者 |
金子 慎治 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (00346529)
吉田 雄一朗 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (70339919)
後藤 大策 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (80432847)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 排出権取引 / CBDR原則 / 国家主権 / 経済効果 |
研究実績の概要 |
本年度は各分担者の役割内容に応じて、昨年度に積み残していた諸課題に取り組んだ。 すなわち、(1)排出権取引の実施に伴う効果の検証、(2) 世界排出権取引市場のモデル検討、(3)排出権取引に伴う環境問題の再整理などである。特に、(1)の点は、主に日本での排出権取引制度の導入効果について、過去の諸研究の帰結の検討と、環境省が公表した報告書の結果に関する検討を最新の産業連関表によって吟味した。 その結果、環境省の報告書では、温室効果ガスの削減による需要減退と排出権取引制度の導入による需要増大の効果がほぼ拮抗する形のものとなっていたが、制度の導入の有無によらず、その波及効果は負の結果であった。最新の産業連関表による我々の計算結果による検討でも同様の結果となることが分かった。但し、排出ガス削減努力による需要減退はどのような想定を設定するかによって結果が大きく左右され、制度導入に伴う需要増大効果も、どのような新規投資を予想するかに大きく依存するため、決定的なことは断言し得ない。 また、CGEモデルなどによるシミュレーション分析の先行研究でも、自国GDPへの効果は、制度を国際的にオープンにしがほうがその効果が上がるとされているが、数値的な結果は必ずしも大きいものではなかった。この点も、前提となるシナリオに大きく依存するため、我々の検討では、大型経済モデルのシミュレーションにあまり依拠すべきではないという感触を得ている。 なお、(2)については、排出権制度導入に伴う全体最適と個別最適のギャップをどのように埋めるのかという理論問題を、更に継続して検討することになった。 (3)については、排出権取引制度に関する啓蒙的書籍の出版などの成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第1に、先行する数値シミュレーションモデルの想定が複雑である割には、それほど大きな効果を排出権取引制度の導入によって得られていないため、どのような検討が簡素で且つ要領を得た分析になり得るのかが、いまだ手探りであるため。 第2に、現実の排出権取引の運用が、世界中でかつてのような熱意を持って行われなくなってきているため、その制度的、政治的原因などを探るという、当初予期しなかった問題などを検討していたことが影響しているため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の本年は、残された理論的問題の定式化への模索、制度的諸問題についての各国の状況の把握、可能な数値シミュレーションによる分析を目指す。 研究分担者他との共同研究会の開催を引き続き重ねて、成果に結びつく形に発展させていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
先の進捗状況の説明のところで触れたように、当初予定されていなかったモデル及びシミュレーションの検討の遅れと、排出権取引制度への各地での取組みが当初ほどの熱意を持って行われていない状況が重なり、思ったように国内外への研究調査が計画できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、最終年度に相応しい活動にすべく、排出権取引制度の歴史的経緯についての調査のための出張と、国内外の講師を招待しての共同研究会の開催、成果発表のための学会参加、英文校閲等の成果公表への作業、また、学生参加者を募っての排出権取引ゲームによって理論的な予想を確認するなどの行動経済学的手続きなどを組織するなどに、研究費を充てていきたい。
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