研究課題/領域番号 |
26550113
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
戸敷 浩介 宮崎大学, 地域資源創成学部, 准教授 (00542424)
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研究分担者 |
劉 庭秀 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (70323087)
内藤 博敬 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (30254262)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自動車リサイクル / ニッケル水素蓄電池 / 鉛蓄電池 / 国際資源循環 |
研究実績の概要 |
平成28年度は,前年度の調査結果を受けて,モンゴル国におけるインタビュー調査や資料収集,統計資料の解析等を行い,廃鉛蓄電池の流通・リサイクル・廃棄の流れと,ハイブリッド車用ニッケル水素蓄電池の将来的な廃棄量について整理した。 まず,廃鉛蓄電池については自動車ユーザーの他に遊牧民が家庭用蓄電池として使用し,廃棄する際には個人の不法投棄の他に収集・運搬業者が回収を行い,鉛精錬業者が低品質のインゴットにして中国等に輸出をしている。鉛精錬工場周辺では土壌汚染が進んでおり,工場の許認可の際に,適切な手続きが必要になっている。この他,収集・運搬業者から貿易業者を通じて使用済み鉛蓄電池の不正輸出もみられる。 ハイブリッド車用ニッケル水素蓄電池については,日本からの中古車輸入台数とハイブリッド車の割合の経年変化について整理した。中古ハイブリッド車の輸入は2010年頃から増加し始めており,2014年には輸入中古自動車の約3割がハイブリッド車になっている。本研究ではウランバートル市内の最も交通量の多い交差点等で走行量調査も行っているが,その結果も約3割がハイブリッド車となっている。モンゴル国で走行しているハイブリッド車は,15年以上経過しているものが多く,ニッケル水素蓄電池がその機能を果たしていないケースもある。ただし,高電圧のため修理や解体は非常に危険であるため,現状では積極的に回収するような動きがみられない。 日本の中古ハイブリッド自動車生産台数が増加し,自動車メーカーも回収・リユースに積極的になっているが,モンゴル国を初め中古ハイブリッド車の海外需要があるため,中古車輸出を止めることは難しく,日本国内における回収が進まない状況である。このため,中古ハイブリッド車輸出国である日本を中心に国際的な資源循環システムの構築を議論していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度の調査後,研究計画の一部を変更して進めているが,平成28年度の調査でモンゴル国における鉛蓄電池の廃棄ルートやニッケル水素蓄電池の潜在的な廃棄量の巣推計手法については,概ね確認できたと考えている。ただし,これらによって引き起こされる環境汚染や非効率な資源循環等に対する対策に関する検討がまだ不十分であるため,当初の研究計画から1年間延長している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,引き続きモンゴル国における現地調査を通じて鉛蓄電池とニッケル水素蓄電池(中古ハイブリッド車)の廃棄量や回収ルート等を把握する。また,これまでに明らかにした調査結果を基に,モンゴル国の研究機関等と協働しながら,鉛蓄電池を初めとする自動車リサイクルの許認可制度や管理体制,リサイクル等に関する適正技術導入の可能性などについて,議論を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は,他の研究プロジェクトと合同で調査を実施したため,計画していた旅費の一部を執行しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は,これまでの調査結果を踏まえて,改めて現地調査により鉛蓄電池及びハイブリッド車(ニッケル水素蓄電池)の排出状況について確認することにしている。このため,モンゴル国への渡航費としての使用を想定している。
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