研究実績の概要 |
デザインプロセスを脳活動の面から検討し,そのプロセスの差違を定量的な生理反応として捉え,能動的な感性の働きである創造的活動の理解に貢献することが目的である。本研究の成果である[1]では,体動や拍動に伴うノイズの除去に細心の注意を払いつつ,Finkeの創造性テストを行う際に,手描きとCADを用いた場合でどのような差が脳血流に見られるかを検討したものである。CADを用いた際に右前頭部のより広範囲で脳活動が上昇する傾向が見られた以外に,有意な差は認められなかったものの,ノイズの除去については一定のノウハウが得られたと同時に,デザインプロセスの差違を脳血流の面から検討できる可能性について一定の成果を得られたと考える。ただし,デザインを模した創造性テストと実務的なデザイン作業の乖離についての検討の必要性を実感しているところである。今後の課題として,デザイン課題における創造性とは何か,脳血流計測によりその創造性を測れるような実務のデザインと近似した実験タスクはどのようなものなのか,その結果をどのように応用するかを検討したい。 [1]Takeo Kato, Shogo Otagiri, Yusuke Nagamori, Yuichi Izu. Comparison of Hand and Computer Drawings Using Near-infrared Spectroscopy, 6th International Kansei Engineering and Emotion Research Conference. 2016. 10 pages (USB) .
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