研究課題/領域番号 |
26560002
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
西岡 仁也 筑波技術大学, 産業技術学部, 助教 (40712013)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | デザイン教育 / 発想法 |
研究実績の概要 |
近年多くのデザイン系の教育機関においてデザインのための発想法が取り入れられ、造形作業へ至るまでの思考プロセスを可視化し整理する事が重要視されている。本研究では聴覚障害を持つ学生の特徴に配慮したデザイン発想法の開発を行う。聴覚障害者は抽象的な思考や言語の扱いが苦手な傾向にあると考えられている。しかしながら、多くの発想法は言語を用いてキーワード同士の関連性から新たなキーワードを抽出する等の抽象的な思考が求められるため、聴覚の障害が発想法の使用に影響を与える可能性がある。そこで、聴覚障害者と健聴者を対象とした発想に関する比較実験を行う事により両者の思考プロセスの違いを明らかにし、聴覚障害者にとって使いやすいデザイン発想法を開発する。 具体的にはマインドマップをベースとした発想の比較実験を行った。その際、同じキーワードから始まる共通の発想法を使用することにより、聴覚障害者が発想を発展させやすい条件を見極めると共に、発想を広げる際の傾向を明らかにした。尚、当該実験は紙媒体を使用して行った。今後の研究では基になるキーワードから次の言葉が導き出される際の順番や、時間、言葉の数、出た言葉の種類、言葉間の飛躍、位置関係等を基に、健聴者と聴覚障害者のマインドマップ作成手順を分析し、聴覚障害者にとって発想の補助が必要な個所や要素を明らかにする。これにより聴覚障害者にとって使いやすいデザイン発想法のフォーマットを作成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は健聴者と聴覚障害者を被験者として発想法用いた比較実験を行った。しかしながら、被験者の人数が少なかった為、統計的な観点から追加実験の必要がある。これらの事から、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の2年目は健聴者との比較から得られたデータを基に、聴覚障害者にとって発想の補助が必要な個所を補い、デザイン発想法の新しいフォーマットを作成する。マインドマップ等の既存の発想法は、キーワードから言葉が派生される際に、方向や距離が意識されないものであるが、本研究においては位置関係や距離の問題にも着目し、方角に当たる参照系による意味の軸を設け、言葉の位置づけからも分類を試みる。これは、聴覚障害者がコミュニケーション手段として用いる手話には、空間を使用した表現が多く、健聴者と比べて物事を空間的にとらえる能力を日常的に行使しているためである。 最終的にはこれらをWebアプリケーションとして開発し、実際のデザイン作業において効果測定を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2年間の研究計画を見据え、2年目の研究の進行に必要な金額を確保するため、1年目は研究の進行上不可欠な物品の購入に留め次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
追加実験やアプリケーション開発のための物品や、学会発表の旅費や参加費、実験等の人件費、謝金のため、次年度使用額を使用する。
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