研究実績の概要 |
当初の研究実施計画に基づき,「研究1:心理学的手法による用いた精度の高い調査・背景の分析」および「研究2:添付文書閲読率向上のための『モノ』と『コト』のデザイン」を実施した. 【研究1:心理学的手法による用いた精度の高い調査・背景の分析】 本研究でははじめに一般消費者を対象とした質問紙調査を行い,添付文書閲読状況を調べた.その結果,「用法・用量」(71%),「効果・効能」(68%)などの閲読率は比較的高かった一方,消費者が必ず目を通す記載項目は比較的少数に限られており,項目によって閲読率にばらつきがあることがわかった.また,シンガポールの医薬品添付文書に関する調査とシンガポール人を対象としたインタビュー調査を行い,シンガポールの医薬品添付文書のデザインが日本と比べてかなりシンプルなものの,利用者はそれほど不都合を感じていないという傾向が明らかになった.以上の研究成果の一部は2014年7月に日本医薬品情報学会(鹿児島)にて発表し,残りの成果については2015年6月の日本医薬品情報学会(岡山)および論文にて発表する予定である. 【研究2:添付文書閲読率向上のための「モノ」と「コト」のデザイン】 今年度は様々なレイアウトの添付文書デザイン案を作成し,眼球運動計測実験および印象評価実験により読みやすさおよび「読みたくなる程度」の評価を行った.その結果,リスクや禁止事項が先に書かれた添付文書よりも効能・効果等のベネフィットが先に書かれた添付文書の方が読みやすくかつ読みたくなるという傾向が見られた.今後は多様なユーザを対象に引き続き検証を行い,成果を学会および論文で発表する予定である.また,電子媒体用の添付文書の開発と検証も行い,初期の成果は2015年6月の日本デザイン学会および11月の国際デザイン学会(IASDR2015, Brisbane, Australia)にて発表する予定である.
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