本研究では,撮影者の意図を汲みながらも最適な構図をもつ写真が自動で撮れるオートフレーミング手法を開発することを目的とする。その実現に向けて、1.ユーザが構図を決めようとカメラを構えながら迷う期間中の画像列から撮影者の意図する構図を推定する主観的評価方法、2. 3分割法という美的尺度に基づき、構図として美しいかどうかを判断する客観的な評価方法、3. 主観的と客観的の両方の評価尺度に基づき最適な画像を生成する、この3つの技術の設計・実装・評価を行った。開発した手法では、以下の3つのステップで結果の画像を生成する。 ステップ1 ユーザがシャッターを切るまで構図を決めかねている間の情報を動画として記録、一定間隔で画像をサンプリングし,特徴点マッチングとスティッチング処理によりて1枚の大きな合成画像を作成し、ユーザが見ている撮影世界を再現する. ステップ2 各サンプリング画像においてORB特徴を時空間的に解析することによってユーザが撮ろうとしている被写体の構造情報を示すStructure Mapおよびユーザの意図する被写体領域をを示すFixation Mapを作成し,顔認識の処理を施したものも統合して,Master Mapを得る. ステップ3 Master Mapを基に,スティッチング後の合成画像から,最適サイズで最適位置においてトリミングが行われるよう探索を行い、ベストショットを得る. 平成26年度はステップ1とステップ2のを実したのに対して、平成27年度はステップ3のアルゴリズムの設計と実装を行い、プロトタイプを完成させた後、評価実験を実施した。評価実験では20代の大学生9名に計34シーンを撮影したもらい、撮影者にスティッチング後の画像から手動で切り取ってもらった画像を正解として,提案手法で作成した画像との一致率を検証し、非常に良い結果が得られた。研究成果は国内の査読付きシンポジウムに採択された。
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