研究課題/領域番号 |
26560009
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福重 真一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10432527)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | デザイン / 複合現実 / 拡張現実 / 編集可能現実 / Editable Reality / CAD |
研究実績の概要 |
前年度に開発したEditable Realityシステムを拡張し、ビデオシースルー型のヘッドマウントディスプレイから得られたカメラ映像と対象物の3D-CADモデルに基づいて、ディスプレイを通して見た対象物の3次元形状をユーザの編集操作に合わせてリアルタイムに改変する機能を実装した。すなわち、カメラ映像に映っている現実世界の物体の形状と、あらかじめ用意した3D-CADモデルとをフィッティングさせ、ユーザがこの3D-CADモデルの形状を変更する操作に合わせて映像を3次元的に改変することで、HMDのディスプレイに映し出された物体の幾何形状をあたかも直接編集しているかような体験を可能にした。 具体的なアルゴリズムは以下の通りである。まず、3D-CADモデルをポリゴンモデルに変換し、ポリゴンごとにカメラ映像の対応する部分の画像を特定する。このとき、各ポリゴンに対して裏面・陰面判定を行い、ユーザの視点(カメラ視点)から見て裏向きのポリゴンや他の部位に遮蔽されているポリゴンは以後の処理から除外する。裏面・陰面判定の結果、カメラ映像上の物体はユーザ視点から見て可視と判定されたポリゴンによって被覆される。3D-CADモデルの変形によって対応するポリゴンモデルの各ポリゴンも変形されるので、その差分に応じて映像を改変すればユーザの視点から見た現物の変形後の像が得られる。視点を移動させるたびに上記の処理を繰り返すことで、任意の視点から見た対象物体の3次元形状がソリッドモデルと同様に変形されたように見える。 以上の方法を用いることにより、カメラに映る物体の映像が直接利用可能になるため、環境光の変化による対象の色の移り変わりや周辺環境の光沢面への映り込みをリアルかつリアルタイムに再現することができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、Editable Realityシステムのプロトタイプを開発し、いくつかの例題を用いた実験を実施した。その結果、処理速度について課題があり、リアルタイムな処理を実現するべくアルゴリズムを改良する必要があることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
ケーススタディとして、実際の工業製品を例題としたデザインの変更をEditable Realityシステムを用いて行い、その有効性について検証する。ケーススタディに用いる製品としては、扇風機、家具、複写機などを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、当該年度の予算総額に対して小額であり、0円清算を行わなかっただけである。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究の成果を発表するための旅費、学会参加費、論文投稿料、英文校正費などに使用する予定である。
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