研究課題/領域番号 |
26560016
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
大久保 雅史 同志社大学, 理工学部, 教授 (10233074)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ノンバーバルコミュニケーション / 合意形成プロセス / 身体的インタラクション / コンテクスト / 伝達度 / 伝達感 / 引き込み現象 |
研究実績の概要 |
本研究では、これまで一対一のコミュニケーションを中心に行われていた、コミュニケーション動作の解析を多人数に拡張し、グループでの合意形成プロセスと身体的コミュニケーションの関係性を解明し、この研究の成果に基づきグループの身体的コミュニケーションから合意形成のプロセスを推定するシステム構築可能性を図ることを目指している。これまで多人数のコミュニケーションにおける引き込み現象については検証されてこなかった。さらに、合意形成においては、バーバル情報を中心とした解析が多く、本研究で目指すノンバーバル情報に基づいた分析・評価はされていない。データの種類や量が多く、関係性の時系列変化を分析することは困難を伴うが、本研究の成果は共同学習の支援にも利用でき、その応用範囲は広いと考えられる。 平成27年度は、これまでに開発を行ってきた,うなずきなどのコミュニケーション動作を自動収集するためのシステム開発の改良を行い、実験により得られたデータから合意形成のプロセスを推定するアルゴリズムの開発を進めている。また、コミュニケーションで送受信される様々な種類のノンバーバル情報が合意形成に与える影響を検証するため,対面,音声,文字によるコミュニケーションで,情報の伝達感と伝達度の二つ観点から解析し,検証を行っている。実験の結果、コミュニケーションのモードや対話者のコミュニケーションスキルによって、ノンバーバル情報の送受信が情報の伝達感と伝達度に影響することが明らかとなった。また、伝達感と伝達度の間に相関が見られず、伝達感と伝達度は別の評価値として扱う必要が明らかとなった。これらの研究成果は、国内では、ヒューマンインタフェース学会のシンポジウムやコミュニケーション支援研究会,また日本機械学会設計工学システム部門講演会、国外ではiDECONで発表を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年度までに、二者間でのデザイン的思考のプロセスの理解を目的とした合意形成プロセスにおける身体動作を計測するシステムを構築し、計測データから合意形成プロセスの推定の可能性について検証している。本システムにより、発想の展開から合意形成に至る各場面とその遷移過程において、身振り・手振りやうなずきを計測し、得られた動作データを解析している。また、発話音声についても、指向性マイクを使い個人ごとに計測を行っている。本システムを利用して記録した対話者の動作から,合意形成によく利用されるうなずきを自動的に抽出するモデルの開発を行っている。2015年度はとくにうなずきを動作の閾値処理だけでなく周波数領域で解析することで、大きなうなずきと小さなうなずきに分けて抽出を行うことができた。本システムを用い、合意形成プロセスにおける対話者の動きの関係性について検証し、合意のプロセスでは対話者の動作に関係性が見られることが分かった。 さらに、うなずきなどのノンバーバル情報が合意形成に及ぼす影響について検討をしている。すなわち、コミュニケーションで送受信される様々な種類のノンバーバル情報が合意形成に与える影響を検証するため,対面,音声,文字によるコミュニケーションで,情報の伝達感と伝達度の二つ観点から解析し,検証を行っている。実験の結果、コミュニケーションのモードや対話者のコミュニケーションスキルによって、ノンバーバル情報の送受信が情報の伝達感と伝達度に影響することが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
開発したシステムを用いて実験を進め、対話者自身の音声とコミュニケーション動作との関係性の時系列変化と動作の周波数領域での解析および対話者同士の音声と身振り・手振りなどのコミュニケーション動作の関係性を時系列ならびに周波数領域から検証を行っていく。また、対話者のコミュニケーション動作とその関係性から合意形成プロセスのフェーズの推定可能性についてさらに検討する。 さらに、ノンバーバル情報の送受信が合意形成のプロセスに及ぼす影響についても検証を行っていく。これまでに話し手と聞き手の役割を課した対面対話において、コミュニケーション動作などのノンバーバル情報のやりとりが話し手・聞き手の情報の伝達感にポジティブな影響を及ぼす一方、伝達度については比較的ネガティブな影響が見られることが明らかとなっている。本年度は、対面対話において視覚的な情報を制限することでノンバーバルな情報の送受信を制御し、ノンバーバル情報と伝達感・伝達度の定量的な解析を進めていく。 さらに合意形成プロセスにおいても同様の実験を対面およびビデオ会議で行い、合意形成の各プロセスにおけるノンバーバル情報と伝達感および伝達度との関連性についても検討する。これらの実験から逆に合意形成プロセスのおける伝達度と伝達感の役割を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度に多めの予算が必要となるため、2015年度の未執行費として3,527円を次年度に繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
、2015年度の未執行費として3,527円を国内学会の参加費にあてる予定である。
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