研究課題/領域番号 |
26560021
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
片桐 恵子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (80591742)
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研究分担者 |
久保田 裕之 日本大学, 文理学部, 准教授 (40585808)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 異世代間交流 / コミュニケーション |
研究実績の概要 |
昨年度の調査結果から、高齢者と若者が共棲するホームシェアプログラムの実施にはいくつかの障害があることが判明した。そのひとつとして高齢者と若者の意思疎通の難しさがあることが判明した。本年度はこのコミュニケーションの問題について取り上げ、近年コミュニケーション能力の低下が指摘される男性にフォーカスしてコミュニケーション実験により検討することとした。 実験の概要は以下のとおりである。実験参加者:初対面の20歳以上の男子学生 38名。実験デザイン:3-4名で1グループを構成。実験条件は(1)世代条件〔同学年と異学年条件〕、(2)場条件〔お茶会、飲み会(ノンアルコール)、飲み会条件〕であった。 仮説:(1)同学年のみグループの方が、異学年グループよりコミュニケーションが活発になる。(2)場条件において、飲み会条件の方が、お茶会条件よりコミュニケーションが活発になる。実験方法:(1)質問紙調査:実験参加者は実験の前に基本的属性、一般感情尺度の質問紙に回答。実験後に一般感情尺度と親密度の質問紙に回答した。(2)コミュニケーション行動の観察:実験の様子は参加者の許可を得てビデオに記録し、コミュニケーション行動に関する変数(発言回数、沈黙、笑いなど)をカウントしてデータとした。 結果:仮説(1)は支持された。仮説(2)については基本的にお茶会条件におけるコミュニケーションが活発になり、仮説は支持されなかった。しかし、「うろたえた」「緊張した」などの感情はお茶会条件の方が高く、飲み会条件の方がリラックスした雰囲気になったことが明らかになった。また、「笑い」については交互作用がみられ、異世代条件では飲み会条件の方が多くの笑いが観察された。 本実験からは、大学生における学年の差であってもコミュニケーションが阻害されること、しかし場の設定によってその阻害は緩和できることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の計画は、平成26年度の調査結果、つまり、一つの住居内で高齢者と若者がシェアをするという当初の計画は、そのままの形では適用しにくいことが予想されたことから、当初計画を少し変更して、(1)日本において実現可能性のあるシェアの形を検討することを第一の課題とする。つまり、高齢者と若者に対してどういう形の異世代間交流を求め、実現可能なのかということについてインタビュー調査の実施。 (2)集合住宅内でのシェアという形のプランの策定。(3)地域交流の拠点の活動例のヒアリング調査(オーストラリア等)。(4)上記調査の中間成果報告:日本社会心理学会、アメリカ老年学会、国際世代間交流学会、国際老年学会アジアオセアニア地区学会にて調査の結果の概要の報告、とした。 それぞれについての今年度の進捗は以下の通りであった。 (1)については、その後昨年度のインタビュー調査の更なる分析結果などを踏まえ、異世代間交流に対して求めることについては、2015年に行った神戸市灘区鶴甲地域における社会調査結果を用いて検討した。(2)に関しては、一緒に住む前提として必要な異世代間コミュニケーションについて実験を行い検討した。(3)に関しては11月にオーストラリア・メルボルンで開催された国際世代間交流学会に参加し情報収集を行った。(4)上記調査の中間成果報告:アメリカ老年学会、国際世代間交流学会、国際老年学会アジアオセアニア地区学会にて調査の結果の概要の報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の調査計画は大きく3つある。ひとつには平成28年度から引き続き異世代間のコミュニケーションに関して、促進阻害要因を検討する実験を行うことである。2つには日本におけるホームシェアに関する現状と課題に関するヒアリング調査を行う。3つ目には、本助成を受けて行った調査実験結果をまとめて報告することである。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主要な理由は、大きく3点ある。一つ目は物品購入費の節約である。コンピューターとプリンターを購入する予定であったが、他の研究助成金により購入したため、倹約が可能になった。第2に出張費の節約である。共同研究者である久保田と の東京で打ち合わせを実施したが、他の研究会での出張や学会の委員会での出張の時期に調整して、出張費を抑制した。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の調査計画は3つある。(1)高齢者と若者に関するコミュニケーション実験。(2)日本におけるホームシェアの現状と課題に関するヒアリング調査の実施。(3)本研究に関する成果報告:国際心理学会、日本社会心理学会、日本心理学会、アメリカ老年学会にて上記調査の結果の概要を報告する。 よって本年度の使用計画の概要は、上記の調査を実施するために、それぞれ(1)に伴う調査費用(コミュニケーション実験用ソフト購入費用49万円、実験対象者への謝礼とデータ作成テープ起こし費用等20万円)。(2)打ち合わせのための出張費用(10万円)、(3)学会発表費用(43万円)を予定している。
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