研究課題/領域番号 |
26560026
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
西 英子 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (70405570)
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研究分担者 |
葛西 リサ 大阪市立大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (60452504)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 共働き世帯 / 転勤 / 二地域居住 / 単身赴任 / 地域生活支援 / ワーク・ライフ・バランス / ライフスタイル |
研究実績の概要 |
共働き世帯、子もち共働き世帯における転勤の可能性を念頭に、女性の就業継続過程における二地域居住の発生において、実際の当事者たちの働き方を概観し、家族やそれを支える地域生活支援のあり方を検討した。主に本年度は、①わが国における男女の働き方、及び転勤に関する実態、②共働き世帯における二地域居住の現状と課題、から分析を行った。 ①では、各学術分野を横断的に整理し本研究の位置づけを明らかにした。また、労務行政研究所が1978年から2012年実施している「転勤に関する諸取り扱いの実態」を収集し分析した。 ②では、熊本市、福岡市の協力の得られた計12園への調査、及び調査回答者のうち二地域居住経験者の女性計10名と意見交換を行った。また、並行して、関西圏、東京都市圏においては知人を介して個別にインタビューを重ねた。次年度の実施予定のアメリカでの二地域居住に関する研究の情報収集を行った。 転勤自体は、コース別人事管理のなかで主に男性社員に発令され、社員の意向を配慮する傾向が現れつつも、依然として会社主導である。夫の単身赴任は、子どもの教育・生活環境のこと、住宅を取得していることなどを背景に増加し、近年は妻の就業が理由にあがっている。家計の負担を鑑み、住宅手当て、持ち家管理等の制度があるのは一部の大企業に留まる。 熊本市と福岡市の二地域居住者の生活では、公共、民間、諸団体による既存の各種支援について情報を持たない者も多く、個人や家族、親族内で日々の家事育児を支え合う事情が出された。熊本では、実家に行き来しやすい居住地に住宅を構え、そこを頼りにすることで、外部団体等による生活、育児に関する支援をほとんど利用していなかった。福岡でも、各種支援サービスの利用は高くはないが利用希望、ニーズは高かった。転勤経験者やその可能性のある者からは、夫婦の互いの今後の仕事やキャリアのことが気がかりな点として出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H26年度の計画、1)アメリカにおける女性のキャリアと二地域居住に関する既存研究の分析、2)わが国における二地域居住の現状、意向の把握(地方都市、大阪府圏、東京都市圏)、3)住課題への具体的な解決策、4)二地域居住者ネットワークの構築、をあげていたが、おおむねすべてにおいて進めることができた。 国内の関連研究者や国外の既知の研究者との意見交換、議論が有効に運び、当初の予定通りの調査を実施することができた。ただし、アンケート調査数としては量的データを確保し得ておらず、工夫が必要である。個別のインタビューを丁寧に実施し質的調査を強化することも大切だと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度の4つの計画を更に推進させ、H27年度計画につなげるため、1)は、既存の関連研究者とのやり取りを通じ、今後、現地アメリカでの具体の調査設計を進めていく。2)は、個別の事例インタビューをさらに増やしていく。3)は、具体的な解決策は見出せていないので、女性研究者の支援という点で交流・議論を行った熊本県内の各大学の異分野の女性研究者へのインタビューも行うことも有効である。4)は、HPの整備に向け、準備段階として、個別インタビューをシートにまとめながら、ブログというかたちで日々の発信を試行したが、発信方法に工夫を重ねていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担研究者の体調の問題から、打ち合わせ議論のための旅費分が残額となった
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次年度使用額の使用計画 |
研究者間の議論、打ち合わせのため、熊本⇔大阪往復の航空運賃、移動運賃として執行予定
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