研究課題/領域番号 |
26560032
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
大矢 勝 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 教授 (70169077)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マイクロバブル / 洗浄 / 界面活性剤 / 油脂汚れ / 気泡径 |
研究実績の概要 |
マイクロバブルによる洗浄挙動について界面活性剤の添加による界面活性(表面張力)の変化が気泡径の分布および洗浄力に及ぼす影響について検討した。試験はガラス管内に汚れを付着させた試料を用い、マイクロバブル含有洗浄液をその中に通過させて洗浄性を評価する手法で検討した。 その結果、水溶性汚れや固体汚れでは除去性が非常に低いか高いかのどちらかの状態となって洗浄性の評価が困難であることがわかった。また着色油性汚れを用いた場合も、外観からの評価ではばらつきが多く、洗浄性評価には不適当であることを認めた。そして、もっとも再現性が高く、マイクロバブルの効果が観察しやすい方法として、着色しない状態の固体脂肪の一定量をガラス管内に付着させた試料を用いて洗浄実験を行い、洗浄捜査後に有機溶剤で抽出して紫外吸収の度合いから洗浄後の汚れ量を求めるのが適当であることを認めた。 また気泡径分布については、マイクロスコープの光学的な条件のため、専用セル内にバブル水を引き入れて一旦水流を止め、その場で焦点の合った静止画を撮影するという操作を繰り返すことによって対応が可能であることを認めた。 以上の実験を行うことにより、アニオン界面活性剤(SDS)、ノニオン界面活性剤(AE)では、臨界ミセル濃度(cmc)の数分の1程度の濃度において気泡径が小さくなり、洗浄力が高まることを認めた。但し、カチオン界面活性剤(CTAB)では活性剤による濃度効果が著しく高いため、マイクロバブルを含むと帰って洗浄性が低下する傾向を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロバブルを用いた洗浄について、(1)界面活性剤の添加効果、(2)シャワー等の水流を付加した系でのマイクロバブル水の洗浄効果、の2側面から検討してきたが、どちらも平成28年度には学会誌へ投稿できる準備が整った。マイクロバブルに関する新たな研究分野を切り開く研究として評価できるものである。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度中にマイクロバブルに関連する論文を投稿する。また、マイクロバブルの観察方法に関しては、焦点の合わせ方や光の照射方法等で種々のノウハウを得た。この蓄積を、他のエマルション等の観察手法に活かせるよう発展させる。また、マイクロバブル研究によって一般の泡沫に関する研究を推進するための種々の知見を得ることができたので、マクロな気液分散系との差異に着目して研究を進める。
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