研究課題/領域番号 |
26560034
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
武田 健 東京理科大学, 総合研究機構, 教授 (80054013)
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研究分担者 |
梅澤 雅和 東京理科大学, 総合研究機構, 講師 (60615277)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 住居環境・設備 / 空気清浄機 / 肺 / 肝臓 / メタボローム |
研究実績の概要 |
複数の被験機について、放出される活性種の定性・定量分析、ならびにその生体高分子への影響評価を進めた。吸入される環境中物質の生体影響メカニズムにおいて、とくに重要と思われる脂肪酸群を推定することができた。被験物質(活性種)を動物に吸入させた際の影響解析について、とくに血液中のタンパク質・脂質の分析手法の改善について発展があった。血清中のタンパク質・脂質の分析を行う際には、大量に存在する夾雑物をどのような前処理で分離し、分析するかが重要になるが、その最適化がまもなく完了する。その前処理・分析技術を用いて、処置群・対照群間の比較検証を次に推進していく。 あわせて、トキシコロジー研究データをリスクガバナンスに活かすための提言を、予防的アプローチの観点からリスク研究者と分野横断的な議論により取りまとめた。活性種放出系の製品は、放出を伴うために当該物質の曝露量を増加させ、それによる負のリスク増大の可能性を孕む。すなわち、住その他の環境における曝露量の予測とあわせたリスク推定が必要になる。リスクガバナンスのメカニズム、例えば基準値や許容曝露量の根拠を包括的に取りまとめ、理解することで、トキシコロジー研究データをどのように取り、どのように公開することで効果的なリスクガバナンスを実現することができるかについて、有用な結論が得られるのではないかと期待する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
処置群・対照群間の比較検証についてはまだ新規の結果を得られていないが、それに必要となる生体試料の前処理・分析技術の改善をほぼ完了することができた。また、その技術を活用することにより得られるトキシコロジーからの研究データを、リスク管理のスキームにどう乗せられるかについて、当初の想定以上に活発な議論を進め、一定の結論・他分野との現状の共有を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に用いた被験機に由来するイオン・活性種の生体影響解析を継続する。BALF及び血液中のタンパク質・脂質複合体(等電点二次元電気泳動)、ならびに代謝物(LC-MS及びCE-MS)の定性・定量分析を進める。さらに、改良型のイオン放出型空気清浄機を本研究の研究対象に加え、既存の空気清浄機との放出イオン・活性種の組成ならびに生体影響の比較を実施する。
一連の実験により、タイプの異なる複数の被験機から放出されるイオン・活性種の物性・化学組成、ならびに生体影響を比較検討する。とくに、吸入したイオン・活性種と直接的に触れる気道中のタンパク質・脂質複合体、ならびにその影響を直接的に受ける血液中の複合体に生じる変化を詳細に解析することにより、当該活性種の影響発現メカニズムを明らかにする。最後に、ここまでに得られたデータを基に、実際に人で起こり得る有害性を科学的に、衛生化学の観点から検証し、当該・類似機種の安全な使用法を提案する。
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