平成27年度までに得られた結果を基にして、牛肉の熟成期間がインピーダンスおよび食感に及ぼす影響を明らかにするため、非破壊性の高い接触型電極を用いて熟成期間が異なる牛ステーキのインピーダンス測定を行い、測定後のサンプルを用いて客観的な食感の分析方法であるTexture Profile Analysisを行ってインピーダンスとの関係について検討を行い、また官能評価を行って食感およびインピーダンスとの関係について検討を行った。 供試筋肉は日本短角種の半膜様筋(M. semimembranosus)大腰筋(M. psoas major)を用いた。インピーダンスの測定は接触型電極を接続したLCRハイテスタを用いて行った。インピーダンス測定後の筋肉サンプルは卓上型物性測定器を用いてTexture Profile Analysisを行った。また官能評価は2点識別法により行った。 牛肉の最大荷重、ガム性荷重、および筋線維に対して垂直方向のインピーダンスは屠畜後21日が屠畜後2日に比較して有意に低かった。屠畜後2日と屠畜後21日との牛肉の硬さの違いは官能評価で有意に識別された。牛肉の最大荷重およびガム性荷重は屠畜後4および6日目が屠畜後2日目に比較して有意に低かった。筋線維に対して垂直方向のインピーダンスは、屠畜後6日目が屠畜後2日目に比較して有意に低かった。したがって、牛肉テクスチャーの違いはインピーダンスから非破壊的に推定できる可能性が示された。
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