研究課題/領域番号 |
26560042
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
後藤 直宏 東京海洋大学, その他部局等, 教授 (60323854)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 食品酸化 / 測定方法 / ヘッドスペース / 酸素濃度 / 油脂 / 非破壊 / 無溶媒 / 過酸化物価 |
研究実績の概要 |
各種食品の酸化劣化に対する安定性を容器中のヘッドスペース酸素量を指標にして評価する手法を開発している。この手法を用いると、食品の酸化劣化を、溶媒抽出などによる食品の構造破壊を行わず(無溶媒)、非破壊で食品の劣化状態を把握することが可能となる。これまで2年間本研究を実施してきたが、平成26年度(1年目)の研究では測定容器の設計を行った。研究開始当初は、ある程度の圧力に耐えられる容器を用い、自転車の空気入れを用いて容器内へ空気を圧縮する手法を考えていたが、研究を進める内に容器内ヘッドスペース部の大気圧溶存酸素量だけでも食品の酸化劣化を充分測定可能であることが判明した。そこで、容器の構造を簡便化できるという利点もあることから、容器内に空気を圧縮することをやめ、大気圧空気中の酸素量を指標にして測定を行うこととした。平成27年度(2年目)は、実際の食品サンプルを用いて食品の酸化劣化を測定した。現在、食品中の酸化劣化指標として用いる指標は主に脂質由来の指標である。特に多く用いられる指標は過酸化物価(Peroxide Value: PV)であることから、開発した容器を用い、食品劣化をヘッドスペース酸素量変化にて観察すると同時に、各時間における食品のPV測定も行い、2つの変化を比較して、開発容器の性能評価とした。サンプルとしてはPV測定が容易である食用油(シソ油)を用いた。その結果、PVが急に上昇するタイミングに於いてヘッドスペース酸素量の減少速度が増加することを確認した。併せて、容器内にサンプルを入れていないときは、ヘッドスペース酸素量は変化しなかったことも確認した。これらの結果より、開発した測定容器を用いることで、食品の酸化劣化を非破壊で測定可能であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画の段階で、 平成26年度(1年目):測定機器の開発 平成27年度(2年目):開発した測定機器を用いての食品の酸化劣化測定と現在用いられている食品の酸化劣化指標との比較 としていた。現在、この計画通りに研究は進んでいる。よって、「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の研究で、開発した測定容器で食品の酸化劣化を測定可能であることがわかった。しかしこの結果は、PV測定を容易にするために食用油を用いた結果である。そこで平成28年度(最終年)は、パンやクッキーなど、形を持つ食品でも開発した機器は使用可能か否かを評価する。具体的には、パンやクッキーを製造する際に使用する油に、添加する抗酸化剤であるビタミンE量を変化させ、その影響がどのように観察されるかをヘッドスペース酸素量変化を用いて評価する予定である。
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