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2014 年度 実施状況報告書

赤タマネギ添加による種子の発芽促進機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26560043
研究機関新潟大学

研究代表者

大坪 研一  新潟大学, 自然科学系, 教授 (80353960)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード食品科学 / 食品機能 / 植物 / 酵素 / 食品加工 / 農林水産物
研究実績の概要

赤タマネギ添加発芽玄米の特長と発芽促進機構の解明および機能性の向上効果について研究を開始した。(1)赤タマネギによる発芽促進機構を明らかにするため、ジベレリン阻害剤(ウニコナゾールP)を添加した結果、発芽促進効果が抑制されたことから、赤タマネギ添加による発芽の促進にはジベレリンが関係していることが明らかになった。発芽中の各種の酵素活性を調べた結果、発芽により、αーアミラーゼ、セルラーゼ等が活性化し、赤タマネギの添加によって、セルラーゼ、キシラナーゼ等の細胞壁分解酵素が特に活性化されるということを見いだした。(2)未発芽種子、水浸漬による発芽種子および赤タマネギ添加発芽種子の3種類についてプロテオーム解析を行った結果、水浸漬発芽種子において、シトレートシンターゼやプロテインキナーゼの増加が認められ、赤タマネギ添加発芽種子では、シャペロニンおよびインドール酢酸合成酵素の増加が認められ、発芽においては、クエン酸回路の回転の促進およびリン酸化を介した情報伝達が行われ、特に、赤タマネギ添加による発芽促進については、植物ホルモンが関与していることが推察された。(3)赤タマネギ添加発芽イネ種子の機能性について検討した結果、発芽による増加が報告されているγーアミノ酪酸(GABA)の増加が、赤タマネギ添加によってさらに促進されること、使用した3品種の全てで、ポリフェノールの増加によるDPPHラジカル消去活性が増加するということが明らかになった。この赤タマネギ発芽玄米を小麦粉に3割添加してパンを試作した結果、食味、耐老化性、抗酸化性の優れたパンとなった。これにより、赤タマネギ添加発芽イネ種子は、抗高血圧機能および抗酸化機能がきわめて強いことが示され、機能性食品の素材として有望であることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請段階で計画した3つの研究改革について、それぞれ順調な成果が得られた。(1)赤タマネギ添加による発芽促進機構の解明については植物ホルモンの関与と細胞壁分解酵素の活性化を見いだし、(2)プロテオーム解析による機能解明については代謝回転の促進と情報伝達、インドール酢酸の関与を明らかにし、(3)赤タマネギ添加発芽種子の機能性については、GABAの増加による高血圧抑制機能とポリフェノールの増加による抗酸化性の増加とを見いだし、赤タマネギ添加発芽イネ種子が、機能性食品素材として有望であることを明らかにした。

今後の研究の推進方策

申請書では、27年度以降の計画として、(1)赤タマネギによる発芽促進機構の解明、(2)赤タマネギ添加発芽における抗菌性の解明、(3)抗酸化性の詳細な検討、(4)抗酸化性以外の機能性に関する検討、(5)イネ以外の麦類や豆類の種子における赤タマネギ添加発芽の検討などを記載した。上記(1)から(5)について、計画通り研究を実施する予定である。

次年度使用額が生じた理由

26年度は赤タマネギ添加発芽イネ種子の発芽促進機構の解明、プロテオーム解析および抗酸化性を中心とする機能性評価と発芽種子配合パンの試作まで進め、順調な成果が得られたが、GABAの増加を確認するための委託分析が3月になり、結果も得られてデータの報告も受けたが、その委託分析費用の支払いが分析機関からの報告・請求の翌月(新年度4月)となってしまい、26年度の試験費用約26万円が未使用となってしまった。

次年度使用額の使用計画

既にGABAの委託分析が26年度3月に終了し、データの報告も得て、その抗酸化性についても生化学試験で確認できたので、その委託分析費用約26万円を新年度4月に大学から日本食品分析センターに支払うことになっている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] Quality evaluation and authentication by PCR for wheat/rice bread2014

    • 著者名/発表者名
      Ken'ichi Ohtsubo
    • 学会等名
      2014 Rice International Conference
    • 発表場所
      Pingtung City, Taiwan
    • 年月日
      2014-11-24 – 2014-11-27
    • 招待講演
  • [図書] Rice Processing2014

    • 著者名/発表者名
      Takasuke Ishitani and Ken'ichi Ohtsubo
    • 総ページ数
      268(184-203)
    • 出版者
      ERLING

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公開日: 2016-05-27  

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