デジタル画像の解析による表面粗さの定量法の確立と調理特性との相関については,まずデュラム・セモリナと水を混捏したドウから材質のダイスを用いて調製した生麺を乾燥して,表面粗さが異なる乾燥スパゲッティを作成した.それぞれの試料を光度のムラのないLED発光板の上に置き,デジタルカメラを用いて透過光による画像を撮影した.その画像をRGB(red,green,blue)に分解し,blueの濃淡強度を0~255の諧調に数値化した.その濃淡プロファイルから,コントラスト,分散,歪度などの識別指標を算出した.また,それぞれの試料の表面粗さをデジタルマイクロスコープで測定し,表面粗さの指標となる同様の識別指標値を得た.識別指標であるコントラスト,分散,エネルギー,エントロピー,歪度および尖度のいずれについてもデジカメを用いる方法と従来法の間で相関が得られ,新規法の妥当性が示された.また,これらの識別指標を使い分けることにより,従来法よりも感度よく粗さを評価できることを明らかにした. 次に,デジタル画像の解析により乾燥麺の空洞の有無とその程度の定量化については,テフロン製ダイスを用いて作製した生麺を温度と相対湿度を適当に制御して,種々の程度に内部にクラックをもつ乾燥スパゲッティを調製した.上記と同様に,それらをLED発光板の上におき,透過光による画像をデジタルカメラで撮影し,その画像をRGB分解したのちblueのみの画像を得た.その画像をいくつかの画分に分割し,各格子の濃淡値を二値化して,空洞のある画分とない画分を特定した.空洞のある画分については,その画分をさらに細分化して,同様の操作を繰り返すことにより,空洞の形を識別するとともに,空洞のある画分とない画分の割合より,空洞の程度を数値化する方法を確立した.
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