研究課題/領域番号 |
26560052
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
早川 清雄 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (00368292)
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研究分担者 |
高岡 晃教 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (30323611)
亀山 武志 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (40569505)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 核酸 / 免疫 / 食品 |
研究実績の概要 |
自然免疫応答は古典的、かつ非常に重要な生体防御システムであり、その詳細なメカニズムが明らかにされつつある。自然免疫応答の活性化は、病原体を構成する構造(PAMPs)がパターン認識受容体(PRRs)によって認識されることからはじまるが、その認識メカニズムは、多くの研究者によってTLRをはじめとした細胞外、RIG-Iをはじめとした細胞内において詳細に解析されつつある。本課題では、健康の維持・疾病の予防等につながる基礎的研究として、食品由来の核酸による免疫応答の詳細を明らかにすることを目的としている。 食品由来の核酸(DNA)による、免疫応答の活性化を検討するため、まず、数種類の野菜と肉類からDNAの抽出を行った。次に、マウスマクロファージ細胞株(Raw 264.7)を用いて抽出した核酸で処理を行った。処理した細胞からRNAを抽出し、インターフェロンやサイトカイン等のmRNA発現をqRT-PCR法を用いて解析を行うと、野菜由来の核酸によって、それら遺伝子発現が上昇することがわかった。さらに、抽出した核酸をDNaseIで分解した後、細胞に対して処理を行うと、遺伝子発現の上昇が抑制されたことから、野菜由来の核酸(DNA)が細胞を活性化させていることが明らかとなった。また、野菜由来の核酸をDOTAPを用いて細胞内へと取り込ませることで、非常に強くIFNが誘導されることを確認することもできた。同様の現象を、LL-37を用いて確認することができるのかどうか、さらにシグナル経路についても検討中である。in vivo での実験を検討するため、マウス口腔内に野菜由来の核酸を処理し、IVIS(リアルタイムイメージング装置)を用た解析についても検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
食品由来の核酸による免疫システムの活性化を検討するにあたり、どのような野菜由来の核酸が本実験に適しているのかを見いだすことができた。現在、siRNAを用いたシグナル経路についての検討を進めると同時に、インフルエンザウイルス感染に対する核酸の効果、in vivo における核酸処理の方法について条件検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの実験から、食品由来の核酸の中でも、ある種の野菜に着目して実験を進めることで免疫応答の活性化を評価することができることがわかったことから、実施計画に沿って、LL-37を用いた時の活性化について明らかにすると同時に、シグナル経路の解明を目指したいと考える。さらに、 in vivo での食品由来の核酸の関与についても検討を進める。また、自然免疫応答の活性化は、サイトカイン等の発現誘導のみならず、細胞内脂質代謝系も急激に変化させることが報告されていることから(Nat Rev Immunol (2014) vol. 14)、脂質代謝関連遺伝子や機能等についてもqRT-PCR等を用いて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、購入を計画していたVerikine-HS Mouse IFNB Serum ELISA Kitを本予算で購入することができなかったため、次年度の予算と合算して購入することを計画している。
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次年度使用額の使用計画 |
Verikine-HS Mouse IFNB Serum ELISA Kit(PBL, 42410-1)を85,104円で高信化学(株)から購入する予定である。
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