食物アレルギーの原因物質(アレルゲン)の構造が、アレルギー症状の発症に関与している。我々は、アレルギー症状に寄与する立体構造を明らかにするために、これまで主要なアレルゲンである種子貯蔵タンパク質について立体構造を解析するとともに、アレルギー症状に関わるエピトープと構造との関係を解析してきた。本研究では、食物アレルギーの主要な原因物質である大豆についてエピトープの構造の比較から、アレルギー症状に関わる大豆タンパク質の構造を見出すことを目的としている。大豆の主要な種子貯蔵タンパク質である7Sグロブリンは複数のサブユニットにより構成されており、その中でN末端に親水性ドメインをもつタイプのサブユニットが主要なアレルゲンであることを見出している。そこで、N末端の親水性ドメインに対する組換えタンパク質について大腸菌を用いて発現させ、クロマトグラフィーにより精製した。組換えタンパク質に対する患者血清との反応性の解析から、そのドメインのアレルゲン性が高いことが示唆された。また、構造データから、この親水性ドメインはディスオーダー構造をとると考えられた。さらに、N末端の親水性ドメインに対する合成ペプチドライブラリーを用いたエピトープ解析によって見出された反応性の高いペプチド配列について比較することにより、エピトープの構造的特徴が見出された。さらに、その特徴に着目して、これまで報告されている食物アレルゲンのエピトープとの比較を行った。
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