研究課題/領域番号 |
26560056
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
奥村 仙示 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (30322259)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 栄養学 / メタボローム解析 / 肝疾患 / 肝癌 / 食生活 / 食習慣 |
研究実績の概要 |
我々は肝疾患に関する臨床栄養研究を長年行ってきた。近年1滴の血液から、網羅的に代謝物を測定できるメタボローム解析により、今まで検討する事ができなかった代謝物や代謝経路を明らかにする事ができる可能性が示された。臨床検査では、発癌すると血清において腫瘍マーカーのαフェトプロテイン(AFP)が増加するが、AFPより早期に血中で特定のジペプチド類が増加する事が報告されている。この特定のジペプチド類は肝疾患のB型慢性肝炎、 C型慢性肝炎、 薬剤性肝炎、 アルコール性肝炎、 脂肪肝、NASH、肝癌等の病因や癌が高精度で識別されることが報告された 。しかし、なぜ、発癌によって異なるジペプチド類が生成されるかは不明である。この臨床研究において、病因別に癌が産生する代謝物を同定する事は、癌を早期発見できるだけでなく積極的な栄養治療に対する新たな治療戦略を立てる上で非常に有益である。 これまでに報告されている癌により増加した既知代謝物が、切除後どの程度の経過で低下するか確認し、未知代謝物が変動するか、さらに、切除後癌再発群と非再発群の代謝物を血液と尿において比較し、食生活と代謝物の関連を解析することで、発癌に関連する食生活を解明することを目指す。実施にあたっては、ヘルシンキ宣言ならびに徳島大学の規則・指針を尊守し、対象者に対しては適切なインフォームドコンセントを実施し、被験者に説明を行い、書面による同意を得る。個人情報の取り扱いには留意し、個人が特定できないように配慮する。 平成26年度は、臓器、血清、尿のサンプリングを行った。メタボローム解析による代謝物の測定ができるように、各サンプルに必要な前処理を行った。また、肝癌切除後の食生活と再発の関係を検討するために、術後1年後の血清の採取と食習慣の調査を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト肝臓の癌部・非癌部の検体採取が予定通り進んでいる。前処理を行い解析準備を計画に沿って進められている。血清やスポット尿も採取して、同様に前処理を行い、メタボローム解析のための代謝物測定準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト肝臓の癌部・非癌部、血清、尿のメタボローム解析による代謝物の測定を行い、同一人物のサンプル間で、代謝物の違いがみられるかを確認する。 肝切除術によって、急性期に変動する、血清や尿の代謝物の変動を確認し、手術侵襲による代謝物の変動と同時に、癌部切除による代謝物の変動について変動を検討する。 また、肝癌切除1年後の血清代謝物と食生活の変化の関係を検討する。その際、癌が再発群と非再発群において、食生活に差があるを比較し、発癌に関与する食生活について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
おおむね研究は順調にすすんでいる。解析サンプル数は、入院患者により左右されるため、必要な試薬が多少変動するため、少額の残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
継続的に、サンプリングを行い、そのための試薬やチューブに経費を使用する計画である。
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