研究課題
注意欠陥・多動性障害(ADHD)の多くは幼少期に発症が見られ、メチルフェニデート(MPH)がその改善薬として認可されている。MPHはドーパミン(DA)系を介して働くことが知られているが覚醒剤類似薬でもあるため副作用や依存性が懸念されている。そこで、本実験では脳内DAレベルをより増加させた場合の行動への影響を検証することを目的とした。ICRマウス(3週齢雄)を1週間の馴化後にオープンフィールド試験(OFT)を行い、その値で4群に分け、7日後に①生理的食塩水、②カルビドパ、③低濃度L-ドーパ④高濃度L-ドーパの投与を行った。投与30分後にOFT、その直後にサンプリングを行った。アミノ酸とモノアミンの分析はUPLCとHPLCを用いて行った。自発運動量を示すOFTの総移動距離の値がL-ドーパの投与によって大きく減少した。小脳、前頭前野および線条体においてDA含量は有意な上昇を示した。また、各脳部位におけるL-ドーパおよびDA系代謝産物の増加率に違いが見られたため、L-ドーパの取り込み効率ならびにDA系代謝回転率が異なることが示唆された。ジャンガリアンハムスター(以下、ジャンガリアン)とロボロフスキーハムスター(以下、ロボロフスキー)は、同じヒメキヌゲネズミ属である。ジャンガリアンはヒトに慣れやすく大人しい特徴を示す一方で、ロボロフスキーはヒトに慣れにくく素早く動き回り多動性を有する。慣れるということについては、記憶・学習能力が関与しているのではないかと考えた。そこで本研究では、ジャンガリアンとロボロフスキーにおける多動性と認知機能との関連性について検討を行った。ロボロフスキーはジャンガリアンと比して有意な高い行動量を示した。記憶能力は両者に差異がみられなかったものの、学習能力においてロボロフスキーで有意に低かった。記憶・学習能力に関連する脳内のD-セリン含量は、ジャンガリアンにおいて有意に高かった。
すべて 2017 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件) 備考 (2件)
Animal Science Journal
巻: 未定 ページ: 未定
http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/lrmb/
http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K000452/