研究課題/領域番号 |
26560059
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研究機関 | 名寄市立大学 |
研究代表者 |
西村 直道 名寄市立大学, 保健福祉学部, 教授 (10341679)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 大腸 / 水素 / 脂肪組織 / 慢性炎症 / サイトカイン / 難消化性糖質 / フラクトオリゴ糖 |
研究実績の概要 |
食餌誘発性肥満による脂肪組織からのサイトカイン分泌,酸化ストレス上昇を大腸水素(H2)によって低減させ、耐糖能異常を改善させられる可能性を調べた。また,脂肪組織中H2濃度の上昇が各種炎症関連因子の遺伝子発現に与える影響を調べた。 SD系雄ラットに標準コントロール(NC)食または高スクロース高脂肪コントロール(HSF-C)食を28日間与えた後、HSF食を与えたラットをさらに3群に分け、HSF-C食、HSF+H2水投与(HSF-H)、HSF+5% フラクトオリゴ糖食(HSF-F)を28日間与えた。H2水の平均H2濃度は230 umol/Lだった。試験途中に腹腔内グルコース負荷試験(IPGTT)を行った。最終日に(呼気+放屁)H2排出量、門脈H2濃度およびエンドトキシン濃度,腎周囲脂肪H2濃度,単離した脂肪細胞からのIL-6およびTNF-α,CCL2分泌量,盲腸内短鎖脂肪酸濃度を測定した。 エネルギー摂取量,体重増加量は群間に差は見られなかった。腎周囲脂肪重量はNC食群に比べHSF食群で有意に大きかった。IPGTTの結果から求めた曲線下面積はHSF-F群,HSF-H群でHSF-C群の84%だった。HSF-F群の門脈H2濃度および腎周囲脂肪H2濃度はHSF-C食群に比べ有意に高かった。このことから,フラクトオリゴ糖由来の大腸H2によるラットの耐糖能改善作用が示唆された。また、HSF-Hラットでも耐糖能改善が認められた。単離した脂肪細胞からのIL-6分泌量はHSF-C食群に比べHSF-F群で有意に低かった。門脈中のエンドトキシン濃度は群間で差がなかった。このことからフラクトオリゴ糖由来の大腸H2は脂肪組織でのIL-6分泌を低下させることが示された。 以上のことから、難消化性糖質由来の大腸H2は脂肪組織でのIL-6分泌を抑制し,ラット耐糖能を改善する可能性があると示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
決定額が予定していた額より低かったため、当初予定していたモデルラットを使えなくなった。そのため、肥満誘導に時間をかける必要を生じた。このことが遅れの原因となっている。ただし、モデル形成に時間はかかるが、予想していたデータ検証を行えることがわかったため、今後、進度を早めることが可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
時間がかかるものの、確実にモデル形成が可能であることがわかったため、あらかじめモデルとなる動物を多量に飼育し、実験を連続的に進めることを可能にする。これによって、多少遅れていた部分も来年度分とまとめて実施していける。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデル動物を変更したため、研究に多少の遅れを生じている。そのため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に遅れた分の研究を実施するため、それに充当させ、研究を進める。
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