研究課題/領域番号 |
26560067
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
坂上 元祥 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (20283913)
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研究分担者 |
伊藤 美紀子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (50314852)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 統合失調症 / サルコペニア / 食意識 |
研究実績の概要 |
精神科デイケア利用者のサルコペニアの実態と食事摂取量の関係を調査した。精神科デイケアの統合失調症患者25名を対象とした。Asian Working Group for Sarcopeniaの基準を用いると、25名中5名がサルコペニアであった。サルコペニア群の体重あたりのエネルギーとたんぱく質の量は非サルコペニア群と差がなく、身体活動量の低下が原因と考えられた。サルコペニアでBMI25が以上のサルコペニア肥満はサルコペニア5名のうち3名であった。以上より統合失調症患者の精神科デイケア利用者におけるサルコペニア肥満の有病率は高いことが明らかになった。 精神科デイケアにおいて利用者に個別栄養教育を行い、その有効性を検討した。精神科デイケア利用者34名を対象とし、介入群と対照群に無作為に振り分けた。介入群には食物摂取量や外食の頻度、惣菜の利用頻度などから決定した個別栄養教育を実施した。 食事に関するアンケートの総スコアでは、介入によって介入群で大幅な上昇が見られた。しかし有意差はなかった(介入群7.6±11.8点、対照群3.6±5.2点)。アンケート結果を食意識、食行動、食態度の項目別に比較しても有意な差はなかった。質問項目ごとに比較すると「あなたは食事から必要な栄養素をとれていると思いますか」と「乳製品(牛乳やヨーグルト、チーズなど)を食べるように心がけていますか」の2項目において介入後のスコアが有意に改善した。 食生活セルフエフィカシーでは、介入後の総スコアが改善した(介入群4.1±7.5点、対照群1.5±5.2点)。しかし、これにも有意な差はなかった。質問別に比較すると、「家庭において、野菜を毎日食べることができる」と「生活習慣病になりにくい食生活をすることができる」のスコアが有意に改善した。以上から精神科デイケアでも個別栄養教育を行うことにより食意識が改善した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
27年度には対象者は多くなかったものの教育介入プログラムが実施できた。その有効性も示された。これにより28年度に予定通りの調査が行える見込みができた。
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今後の研究の推進方策 |
27年度は短期の介入研究を行った。28年度には3-6ヶ月にわたる長期の介入を実施し、その効果を明らかにする。27年度の研究から栄養教育と同時に運動を実施することが重要であることが明らかになったので、精神デイケアに設置されたトレーニングマシンなどによる運動も組み入れ、有効性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査の実施に必要な機器を購入する予定であった。しかし、調査機関に設置されている機器が使用できたため、購入を見送った。そのために30万円程度の繰越金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度研究から栄養教育に加え運動介入が必要であることが明らかになった。運動には精神デイケアに設置されている機器を用いる。しかし、調査対象が多くなると不足する。そのため繰越金でエアロバイクとルームランナーを2台程度づつ新に設置し、運動介入がスムーズに行えるように配慮する。
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