亜鉛の1日当たりの摂取量の目安は、乳児で約5mg、小児や成人では約15mgである。亜鉛は小腸で吸収され、その吸収量は腸上皮細胞に発現する亜鉛トランスポーターにより調節されている。亜鉛欠乏症では、これら機能に問題を抱えており、亜鉛欠乏症の患者には1日摂取量の6~10倍の亜鉛が処方される。 本研究では、効率的に亜鉛を輸送する配位子を同定することで、亜鉛欠乏を治療・予防できると考えた。本申請課題では、亜鉛単独と比べ、腸管上皮細胞への取込み効率の増加する3種類の配位子の同定に成功し、また、これら配位子を含む亜鉛錯体は、亜鉛欠乏と関連する肥満や骨疾患への効果が動物実験により確認された。
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