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2014 年度 実施状況報告書

ビタミンK体内動態の解明と尿中代謝物を指標とするビタミンK栄養状態評価法の創成

研究課題

研究課題/領域番号 26560072
研究機関神戸薬科大学

研究代表者

鎌尾 まや  神戸薬科大学, 薬学部, 助手 (40299087)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードビタミンK / phylloquinone / menaquinone-4 / menadione / 抱合体 / 尿中排泄
研究実績の概要

ビタミンKの体内動態を明らかにするために、まず、ビタミンK1(phylloquinone、PK)からビタミンK2(menaquinone-4、MK-4)への変換過程の中間体であるビタミンK3(menadione、MD)の産生について培養細胞に重水素標識PKを添加することにより検討した。その結果、肝臓、腎臓、腸由来の細胞において、PKからMDおよびMK-4の産生が認められた。従って、MDは小腸で遊離すると予想されたが、肝臓や腎臓においてもPK→MD→MK-4といった一連の変換反応がおこると考えられた。また、マウス血漿におけるMDの存在形態を推定するため、前処理の違いによるMD検出量の比較を行った。前処理なしあるいはβ‐グルクロニダーゼ消化ではMDは検出されず、酸処理によってのみMDが検出された。よって、血中においてMDはグルクロン酸抱合体以外の形で存在している可能性が高いと推察された。当初、血漿中においてMDの存在形態の候補とした4種の抱合体(グルクロン酸抱合体、硫酸抱合体、グルタチオン抱合体、N-アセチルシステイン抱合体)のうち、グルタチオンおよびN-アセチルシステイン抱合体の合成標品を調製することに成功した。今後、生体試料中での検出を試みる予定である。
一方、MDの尿中排泄についても検討した。ヒト尿では遊離MDはほとんど検出されず、β‐グルクロニダーゼ消化あるいは酸処理によりMDが検出されたことから、グルクロン酸抱合体を含む抱合体の形で尿中に排泄されることが明らかとなった。また、納豆接種後3時間目において、MDの尿中排泄量の増加がみられることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

培養細胞を用いたPKからのMD、MK-4産生については、重水素標識体を用いた実験系により、正確な評価が可能となった。しかし、血漿中におけるMDについては、含有量が少なく、存在形態の探索が困難であったことが達成遅延の一要因としてあげられる。また、抱合体標品の調製および構造確認が予想以上に困難であったことも達成がやや遅れている要因である。

今後の研究の推進方策

今後は、標品調製済みのグルタチオンおよびN-アセチルシステイン抱合体について、培養細胞実験系および生体試料中における検出を試みるとともに、当初計画どおり、実験動物を用いた尿中MD排泄量とビタミンK摂取量との関連性の検討、培養細胞や実験動物を用いたMDの抱合・脱抱合の検討を進めていく予定である。血漿中におけるMD測定については、含有量が少ないため、LC-MS/MSにおけるイオン化法を再検討するなど、高感度化についても併せて検討する。

次年度使用額が生じた理由

抱合体標品の調製および構造確認が予想以上に困難であったことから、MDの抱合・脱抱合の検討に使用予定のMD重水素標識体の購入を延期したことによる。また、培養細胞を用いた検討を先行して行い、実験動物を用いた検討を次年度に行うこととしたため、実験動物購入費用およびその解析に充てる費用が繰り越された。

次年度使用額の使用計画

培養細胞および実験動物を用いたMDの抱合・脱抱合の検討を行うにあたり、重水素標識されたMDおよび新たに合成した重水素標識MD抱合体が必要になるため、その購入費用に充てる。また、実験動物を用いた尿中MD排泄量とビタミンK摂取量との関連性の検討をおこなうための実験動物購入費用および試料解析費用に使用する。さらに、ヒト尿中MD量とビタミンK摂取量および各種ビタミンK栄養指標との相関性を検討するための試料解析費用として使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 図書 (1件)

  • [図書] ビタミンKと疾患2014

    • 著者名/発表者名
      鎌尾まや(岡野登志夫編)
    • 総ページ数
      9(31-39)
    • 出版者
      医薬ジャーナル社

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公開日: 2016-05-27  

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