【消化管型エビアレルギーマウスモデルの作製】前年度の皮下感作では感作レベルの個体差が大きかったため,BALB/cマウス(メス,7週齢)にクルマエビトロポミオシン(Pen j 1)とコレラトキシンを経口にて反復投与して経口感作モデルを作製した。各マウスの感作レベルは,血清中のanti-Pen j 1 IgE量をELISAによって測定し確認した。その結果,4回のPen j 1とコレラトキシンの共投与ののちに,すべてのエビアレルギーモデルマウスにおいてanti-Pen j 1 IgE量の増加が確認され,消化管型エビアレルギーマウスモデルを作製することができた。 【胃粘膜傷害とエビアレルギー重篤化の関係】前年度はストレス負荷による急性胃炎を惹起させて実験を行ったが,Control群でのアトロピンの副作用などから実験系の再構築が必要となった。そこで本年度はマウスにアルコール性胃炎を惹起させて実験を行った。アルコール性胃炎は,上述のモデルマウスを6時間絶食させたのちに25% EtOH 150 μLを経口投与して誘導し,1時間経過後に実験に供した。マウスをEtOH + Pen j 1投与群,Pen j 1投与群,Control群に分けて検討した。Pen j 1 600 μgまたはHBSSのみを300 μL経口投与し,その5日後に尾部静脈より血清を得てanti-Pen j 1 IgE量をELISAによって測定した。その結果,anti-Pen j 1 IgE量の増加がEtOH + Pen j 1投与群とPen j 1投与群で確認され,増加レベルはEtOH + Pen j 1投与群でより顕著であった。 【胃粘膜傷害がエビアレルギー獲得に与える影響】未感作のBALB/cマウス(メス,7週齢)に対し,2週間間隔でアルコール性急性胃炎を惹起させPen j 1とコレラトキシンを経口投与した。5回の反復投与後に尾部静脈より血清を得てanti-Pen j 1 IgE量をELISAによって測定した結果,胃炎を起こしていないマウス群に比べて胃炎を惹起させたマウス群ではanti-Pen j 1 IgE量が高値を示す傾向が見られた。
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