最終年度としての今年度は、太陽専用分光器の製作を進めた。今年度は昨年度から継続して、国立天文台の先端技術センターの共同利用の公募に採用された。これにより、昨年まで進めていたCADによる設計をもとに製作が可能となり、夏前にセンターでの分光器の製作を終えた。これにより、太陽の観測が可能となったが、新たな課題も見つかった。具体的には、剛性を高めるために過剰に強固な機器になってしまい、重量増加を招いた。加えて、光路を微修正するための調整機構をつけてなかったため、実際の観測には熟練が必要となっている。また、太陽光をスリットにより回折格子に導くが、このスリットが既存のものなどを使用しているため、期待したような太陽分光データを得るまでには至っていない。しかし、性能評価では、既存の分光器と同様な分光性能、迷光率などを得ることができ、これからの観測に期待ができ、太陽の常時観測に向けてこれからも研究を進めていく予定である。 コロナ観測については、今年度に乗鞍観測所の共同利用に採用され、観測を行った。天候により初日だけの観測であったが、コロナの分光が可能なことを確認した。ただし、観測期間中に太陽の活動が低下していたため、活動を示すデータは得られなかった。このこれについても、可能な限り、これからも継続して観測を進める予定である。 研究の最終年度として、当初の主目的である太陽専用分光器の製作を行い、また条件付きであるあるが観測可能な状態を確認できた。これによりこれから実験、卒業や修士研究などの大学教育で実践可能であることを確かめることができた。
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