研究課題/領域番号 |
26560082
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
辻 佳子 東京大学, 環境安全研究センター, 准教授 (10436529)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 環境安全教育 / 化学物 / 危険要因 / 教育教材 / 実習 |
研究実績の概要 |
大学等において研究推進の活性化・学際化、人材の流動化やキャンパスの国際化が進む中、環境安全の分野においても、広い視野を持ち、思考力・実践力を身につけた課題解決型人材の育成が期待されている。本研究は、実験研究、特に化学物質を取り扱う実験の危険要因の抽出をはかり、実験研究者がリスク管理を自発的に行うことが出来る教育手法創成を目的とする。 研究実施計画においては、初年度に化学物質総合的情報データベース、実験者情報参照データベースを作成し、これらのデーターベースを参照しならが化学物質取扱い時のリスク評価を行うシステム構築を行う予定にしていた。しかし、化学物質取扱い環境測定等を含めた実習コンテンツを先に作成し、それらを用いた実験的検討と同時に上記のシステム評価行う方が、研究効率が向上すると考え、今年度はドラフトチャンバー使用実習コンテンツの作成と、さらに、化学物質の危険性を実感できる展示教材の作成を行った。 実習コンテンツにおいては、透明PVD製のヒュームフードを作製し、排ガス処理装置の構造のみえる化を行った。また、給気と排気のバランスをマニュアル操作できる構造を実現し、その上で気流の流れの計測および化学物質取扱い時の作業環境計測を行う実習コンテンツとした。 展示教材においては、実験時の服装と白衣の材質の違いによる耐薬品性・耐燃焼性の評価実験、および、床材の違いによる耐薬品性の評価実験を行った。光学顕微鏡観察、映像、燃焼時の表面温度等を評価軸とし、評価サンプルを展示教材としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画と実施の順番は異なるが、今年度教育コンテンツを先に作成したことは、コンテンツ完成を早めた効果のみならず、平成27年度の研究の加速につながると考えている。 ただし、学内事故事例の解析から抽出した事故原因と人の作業に対する情報との関係性についての定量評価が遅れているので、平成27年度に早急に評価し、システムへの実装をはかりたい。
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今後の研究の推進方策 |
事故情報解析については、新たな手法として、言語解析を検討している。対象物質・実験者の行動・周囲の環境の関連性の抽出手法として、多数の事例を一度に取り扱うことが可能であることが特徴として挙げられるので、その効果をはかる。 また、実習コンテンツについては、平成27年度には機能性薄膜およびナノ材料の研究者に、この教育コンテンツを用いて教育効果を実証することを計画している。特に、多数の実験者情報データベースの収集が精度を上げるための課題となるため、学内共同利用施設利用者への協力依頼を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
情報交換および収集のために2015年3月に予定していた海外出張を中止としたため、その分の旅費が差額として生じた。また、システム構築の外注を平成27年度に持ち越したため、差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年12月にPacifichemが予定されているため、そちらに参加する際の出張経費に充填する。
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