研究課題/領域番号 |
26560088
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大村 悦二 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90144435)
|
研究分担者 |
小峯 茂嗣 大阪大学, グローバルコラボレーションセンター, 特任助教(常勤) (80510081)
大野 光明 大阪大学, グローバルコラボレーションセンター, 特任助教(常勤) (80718346)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | On the Job Education / 実践型演習 / フィールド教育 / 発展途上国 / 農業支援 / ものづくり |
研究実績の概要 |
本研究は、バングラデシュを対象にして、農業支援を志向したものづくりとフィールド教育によって、グローバル人材の育成を実践することを目的としている。単なるアイデア出しや生産者目線のものづくりではなく、海外に赴き、現地の人たちと交流しつつ、現地で役立つものを、現地の人が継続して生産し活用できるまでに推し進める。こうした国内外での実践体験を通して、社会に役立つ工学の重要性と、国際親善・国際協力の大切さ、すばらしさを学ばせ、真のグローバル人材を育成することをねらっている。 2015年度は以下の研究を行った。(1)4月下旬から1週間、研究代表者・大村と研究分担者・小峯が学生2名とともにバングラデシュに赴き、ジェソールの農村において米穀乾燥の現状と現地での乾燥機製作の可否などを調査した。バゲルハットの現地NGO「YES」を訪問して、農家支援活動についての調査した。(2)9月上旬に、大村と小峯が学生6名とともにバングラデシュに赴き、ジェソールの農村においてパーボイル米の乾燥機を製作し実験を行った。現地農民から実用化する上での課題、改良点についてフィードバックをもらった。一連のプロセスにおいて、学生たちは、コーディネーター(バングラデシュ人)の協力を得ながら、現地の農民、鉄工職人、建築職人など、さまざまな人々と協働した。(3)現地活動にあたっては、学生が主体となって、大学において乾燥機のプロトタイプを作成して予備実験を行うとともに、設計図を現地に送って製作を依頼するなど、事前準備にも尽力した。帰国後は、インターネットを通じて現地の人々と情報交換しながら、成果を纏めた。(4)バングラデシュ訪問時には、農村の小学校を3校訪問して子供たちと触れ合い、教師らと意見交換して、初等教育の現状や課題についても調査した。(5)研究成果は、9月の工学教育協会講演会で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バングラデシュに赴き、農村においてパーボイル米の乾燥機を製作し、乾燥実験を行った。現地農民にプレゼンテーションを行い、フィードバックをもらった。この一連のプロセスにおいて、学生たちは、現地の農民、鉄工職人、建築職人など、さまざまな人々と協働する体験をした。現地での活動を実践するにあたり、学生が主体となって、大学において乾燥機のプロトタイプを作成して予備実験を行うとともに、あらかじめ設計図を現地に送って製作を依頼するなど、事前準備にも尽力した。このような活動とその成果によって、学生のフィールド教育を通してのグローバル人材育成という目的は達成できたと思われる。 ちなみに、昨年度本研究に参画した学生の一人はJICAに就職した。
|
今後の研究の推進方策 |
2015年度は、パーボイル米の簡易な乾燥機を現地で製作して乾燥実験を行ったことで、学生のフィールド教育を通してのグローバル人材育成という目的は達成できたと思われる。一方で、バングラデシュの農業の機械化、インフラ整備は着実に進んでいる。このような状況下では、今後、農具の開発や改善に関わる学生のアイデアや設計・製作だけでは、現地農民の期待に沿うことは難しいと感じられるようになってきた。最終年度は、長期に見て農村が豊かに発展することができるように、農業支援を単なる農具の開発や改善に限定せず、将来の農業を担う農家の子供たちの教育に目を向け、子供たちが科学に興味を持ち、農業の近代化に前向きに取り組んでいけるような知育教材の開発にものづくりの対象を移していきたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2015年度は、9月のフィールドスタディに際し、日本財団ボランティアセンターから一部援助をいただいた。そのため、予定していた出張費が削減できた。これが次年度使用額が生じた大きな理由である。
|
次年度使用額の使用計画 |
2015年3月末をもって大阪大学グローバルコラボレーションセンターが解体されたのに伴い、同センター教員だった研究分担者の小峯と大野が大阪大学を退職した。両者は引き続き研究分担者として本研究に係わるが、2016年度は両者の出張旅費が新たな経費として生じる。これらの出張費に2015年度の剰余金と2016年度の出張費を充当する。ちなみに、海外渡航費については、2016年度も日本財団ボランティアセンターから援助していただけることになっている。
|