研究課題/領域番号 |
26560089
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高橋 真 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (50154860)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 数理科学教育 / 論理的思考能力 / ビジュアルプログラミング環境 |
研究実績の概要 |
本研究は論理的思考能力の育成を図る次世代の数理科学教育の解明,特に学習者が概念理解のための教材を自ら作成して学ぶことが可能となる環境を利用して,論理的思考能力の育成を図るシナリオ作成を行うことを目的とする。 平成26年度は3年計画の初年度として,シナリオの準備と作成を行う計画であった。 最初に完成したシナリオを実行する環境の候補について調査を行った。当該研究の先行研究においてタブレット型のデバイスの使用環境について研究を行っていたが,機器の進歩による使用環境の改善を踏まえ最新型のタブレットによるビジュアルプログラミング環境について調査を行った。また並行してRaspberry Piを利用した環境についても調査を行った。 シナリオ作成の準備としては,これまでに研究代表者が授業で作成したモデル検査の入門用のハンドアウト資料を整備して「BYOBによるモデル検査入門」として一般に公開した。これに関して,大阪プログラミング・情報教育研究会においてBYOBを用いた数理情報教育について報告した。また,数学教育として期待される内容を調査するため,数学教育学会の年会に参加した。Raspberry Piの活用に関しては,Raspberry Pi上でMathematicaやRを高等学校の数学の授業で活用する方法についても研究を行った。Raspberry Pi上で高度の計算を行うことには無理があるが,高等学校の数学の内容程度の利用であれば十分授業に活用できることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は学習者が概念理解のための教材を自ら作成して学ぶことが可能となる環境を利用して論理的思考能力の育成を図るシナリオ作成を目的とし,平成26年度はそのシナリオの準備と作成期間として研究を進めた。コンテンツ利用のためのタブレット環境等の整備については,iPadやAndroid端末以外にChromebookやRaspberry Piを利用した環境について特に調査を行った。Raspberry PiではMathematicaを無料で利用可能であるため今後の数理科学教育において十分に活用できることを確認した。シナリオ作成の対象分野では,計算機数学,微分積分学,数理統計学の分野を対象に調査を行った。それぞれの分野で試行的なシナリオを準備したが,まだ不十分な点がありその有効性の調査を行うことができていない。そのため当初の研究計画から考えるとやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後はシナリオ作成の対象分野を決定し,速やかに試行的なシナリオの作成を行う。その後,当初の研究実施計画に基づき,シナリオの検証と改善を行い,講義等でその有効性を検証する。講義での検証では受講学生の数学の理解度の差により,結果を検証的できない場合が考えられる。その場合は比較的学生の数学への理解度に差がない他コースの学生の協力を得て検証を行う。シナリオの有効性が認められない場合は,その原因を調査しシナリオの改善を行う。 また。ビジュアルプログラミング環境の可能性をより広く考察するためビジュアルプログラミング環境で利用可能な外部機器の利用方法を研究する。特に,Raspberry Piを利用した環境について,その数理科学教育への応用について研究をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた資料収集のための旅行が本務の業務と重なり執行できなかったことと設備備品費として購入予定であった機器に後継機種の発売があり執行を見合わせたために次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は,まず執行を見合わせた機器の後継機種を購入し,残りは主に試行的に作成したシナリオの改善のために行う研究協力者との研究打ち合わせに次年度の旅費と合わせて執行する計画である。
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